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▲完成予想図(上)に比べると、現状の堺工場(下)は3分の1程度…。
更新日:2010/06/14(月)

[社会] ウソつき橋下大阪府知事の幻のべイエリア開発

<大阪・堺> シャープ液晶コンビナートの実像

「最先端をいく生産拠点・グリーンフロント堺も稼働」─女優・吉永小百合が出演するシャープのCM。そこで紹介される堺工場(大阪府堺市)の全景は、敷地いっぱいに建屋が並び、壮観だ。ところが、これは「完成予想図」。実際完成している建屋は、現在3分の1ほどしかない。橋下知事が関西経済の起爆剤と期待するベイエリア開発は、砂上の楼閣にすらならないだろう。

かつて「三重県のクリスタルバレー」と賞賛されたシャープ亀山工場は、生産を縮小し、第1工場を中国企業に売却した。この「亀山ショック」だけではない。金融不況による先行き不安へとつながる。また、大阪府による補助金支出と堺市による法人税の減免に対し、「過度な財政支援による企業誘致に異議あり」とする住民からの批判もある。

ベイエリア開発を推進したい橋下知事は、この堺のシャープ誘致を、モデルケースとしている。果たして、シャープ堺工場稼働は、「堺の未来を左右するプロジェクト」(木原前市長)として、ベイエリア開発の先鞭となるのだろうか。(編集部 一ノ瀬)

堺市シャープ誘致の大盤振る舞い

「橋下知事は、堺工場がまだ3分の1しか完成していないことを知っているのに、何も触れない」─堺市議会議員の小堀セイジ氏はこう語る。写真を見るとわかるように、堺工場敷地には、空き地が目立つ。小堀氏が昨年10月の工場稼働後に視察した時、シャープ側は今後の工場建設について、「予定は立っておらず、『世界の動向を見ながら』」との説明だったという。

このシャープの堺工場《グリーンフロント堺》は、確かに「世界最大の液晶コンビナート」だ。新日鉄堺製鉄所の跡地127万uで、最新型の「第10世代」液晶パネルと、「薄膜型」太陽電池の生産が今年3月に始まった。

同コンビナートは、液晶を生産するシャープを中心に、部材メーカーの大日本印刷、凸版印刷、旭硝子、栗田工業、長瀬産業、平田機工、大陽日酸、エアウォーター等の部材メーカーで形成される。生産工程における原材料や部品の調達をまとめる、いわゆる「垂直統合モデル」を推し進めた「21世紀型コンビナート」とも言われている。

公金支出への異議申し立て

「公金支出による企業誘致に、公益性はあるのか?」─こう疑問を投げかけるのは、「シャープ立地への公金支出をただす会」(以下、「ただす会」)だ。

三重県が亀山市にシャープ液晶工場の誘致に成功して以降、自治体は企業誘致の補助金を引き上げ(大阪府は、補助金の上限をシャープの堺工場内定後、30億円から150億円に、和歌山県は06年に、11億円から100億円に変更)、誘致合戦に乗り遅れまいと必死になった。

堺市へのシャープ誘致は、大阪府の太田房江前知事が通産省出身(元大臣官房審議官)というコネを活かし、木原前堺市長が応じて実現したものだ。

しかし誘致にあたって、大阪府は約243億円の補助金を交付する。堺市は、固定資産税と都市計画税などを、稼働後10年間、5分の1に減額した。その減税額は、240億円にのぼる(昨年4月に堺市が減免を認めた5社分)。

「ただす会」は、この点を批判し、府知事・堺市長を被告に、差し止めを求める住民訴訟を起こしている。

「10年間法人税の8割を減免しても、2割の税収アップになる」とする府・市の主張について、「ただす会」は、「地方交付税が75%カットされるので、トータルでは収支がマイナスになる」と批判している。

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