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更新日:2010/03/08(月)

[社会] 息子の介護を拒否する老夫婦
──遥矢当

息子と不仲の母親の入院

「今日妻が入院したことは、息子には伝えないで欲しい」。一緒に老人ホームに入居している夫は、妻が入院したその日、私に伝えた。

老人ホームに夫婦で入居する高齢者は多い。しかし、実の息子の世話にはなりたくないと言うこの夫婦の事情とは何なのだろう?

昨年の春、入居した当初から夫婦は、「ここに入居したことも秘密にして欲しい」と申し出てきた。長年親しく交流を持ってきた友人夫妻に、身元を託していたのだ。子どもの世話にならずに暮らせる経済力は、持ち合わせていた。

この夫妻は、私のホームにボランティアとして来ていた友人に紹介されて、入居してきた。この夫妻は友人と長年にわたり深く、しかしいびつな交流関係を築いていた。それに気づかされたのは、入居契約の時だった。

夫妻の夫が「契約にあたっての身元引受人は、この友人夫妻でお願いします」と希望してきたからだ。老人ホームに入居するにあたって立てる身元引受人は、月額で万単位になる支払いの連帯と、死に瀕した際に延命などの医療に関する判断を持つべき立場になる。つまり、「死にそうだったら、そのまま死んでもらっても構わない」と、本人に代わって意思表示さえできるのだ。だから、ほとんどの人は、近親者か司法書士など法律家に身元を託して入居する。

私は夫妻の訴えを聞いて、友人に「気持ちは分かるが、やはり息子さんによる身元保証をお願いしたい」と伝えた。友人も「この夫妻の医療に関する判断までは責任を負いかねる」と、辞退した。しかし夫妻は、預金通帳を含む全財産をこの友人に託す程の信頼を寄せていた。

夫妻の入居契約の際、私は息子と話をした。息子は神戸市にある大学の教授だった。夫妻から「息子は若い頃学生運動に関わって以来、勘当したんですよ」と説明を受けていた。

ホームに現れた息子は穏やかで、両親の老い行く先を心配していた。それは、他の親子でも見られる、ごく当たり前の光景だった。息子は、「自分の考えを曲げない両親ですが、どうかよろしくお願いします。何かあったら私に連絡下さい」と話し、丁寧に頭を下げた。

契約が無事終わり、私は夫妻から「息子には契約の場には居て欲しくなかった」と言われてしまった。

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