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▲本山美彦氏

▲「上海ヒルズ」とも言われる上海ワールドフィナンシャルセンターから見た上海
更新日:2010/03/08(月)

[社会] 危険な金融資本主義の復活 中国・インドの成長で世界経済は回復するのか?
──京都大学名誉教授・本山美彦

バブル崩壊必至の中国と実体あるもの作り経済のインド

中国・インドの成長により、世界経済はかつての活況を取り戻す―こんな根拠のない楽観論が盛んに振りまかれている。確かに、暴落した株価はNYで1万ドルを回復し、東証も1万円を維持。巨大な人口を抱える中国の経済成長は、10%を越え、インドを合わせた旺盛な需要が宣伝されているのだが…。

『金融崩壊』の著者・本山美彦氏に、中国・インドの経済成長の実態について聞いた。中国経済は、バブル崩壊が必至。中国経済の失速は期待感が大きいだけに、悪影響はリーマンショック以上で、資本主義の終焉へと導く可能性がある。

一方、インドは、実体のあるもの作り経済で、世界経済の救世主になる…という診断だ。(文責・編集部)

中国バブルは危険水位へ

中国の経済成長は、バブル状態です。加熱する成長神話は内陸部・地方都市に及び、とてつもない不動産投機に突き進んでいます。土地価格上昇は年率20%、高級住宅価格の上昇は40〜50%にも及んでいます。いつ破裂してもおかしくない状態ですが、いったん破裂すれば、経済崩壊は凄いスピードと規模で進みます。

日本はバブル崩壊から10年以上経ち、未だ低迷が続いています。中国バブルが破裂すると、その回復にはどれ程の時間が必要か、予想もできません。また、その規模・深度からして、世界経済に未曾有の打撃を与え、世界経済崩壊へ導く可能性もあります。

まず、その根拠を説明します。中国は2兆jという世界一の外貨準備をもち、8000億jの米国債を買っています。中国人民銀行は、この膨大な金をばらまき、バブルを膨らませてきたのです。

これは日本と同じです。膨大な貿易黒字を抱え、プラザ合意で異常な円高に追い込まれた日本は、豊富な資金でドルを買い支えました。この膨大な資金が、バブルを生み出したのです。

中国は、より巨大な規模とスピードで、同じ道を走っています。中国は今、世界経済にとって最も危険な要素となっています。中国ブームは、早晩去るでしょう。

ただし、今年に入り中国人民銀行は、金利引き上げなどの金融引き締め策を発表しました。加熱するバブルを冷やそうと必死です。しかし、中国の支配層そのものがバブルの恩恵を受けています。ウォール街の支持を受けたオバマが金融取引規制をできないのと同じで、中国政府はバブルを抑え込めないでしょう。

中国は、米国などへの輸出という外需依存から内需中心の経済へと転換しようとしています。しかし、この転換が起きる前にバブルの崩壊を迎えるでしょう。

「元」の国際通貨化へ準備着々

これまで中国は、対共産圏貿易の制限(COCOM規制等)のため、高度技術の獲得に苦労してきました。

しかし、その中国は今、政府系ファンドを設立し、高度技術と重要天然資源を世界中から買い漁っています。米国の主要企業も中国に買い取られていくと思います。IBMはその先駆けとなった巨大企業です。GMもその可能性があります。

ただし、直接中国政府系ファンドが買収に入ると、摩擦が起きます。そこで中国は、ゴールドマンサックス人脈を使っています。中国工商銀行の重役に同社の役員を招き入れ、主要な証券会社へも入れています。こういう形で中国は、一方で米国との金融的一体化を進めているのです。

さらに、米国の経済的没落を確信している中国は、次の手も打っています。それは、「元」を世界通貨に押し上げる準備です。

まず、豊富な資金を使ってIMF(国際通貨基金)の中で存在感を高め、やがてこれを保証機関として「元」を国際通貨として認めさせていく、というシナリオです。

また、今後益々重要度が高まるアジア地域の共通通貨として「元」を採用させるために、様々な実験も行っています。

一例を挙げます。昨年中国は、マレーシアとの貿易の際、ドルもユーロも使わず、お互いの通貨で決済する、という実験を始めました。

このような決済システムでは、常に2国間の貿易額が均衡するようになります。一方的な輸出攻勢ではなく、相手国にも購買力をつけるという狙いです。

日本は、集中豪雨的輸出で様々な軋轢を生み、批判を受けましたが、中国は、上記のようなFTA(自由貿易協定)を各国と結び、バランスのよい経済外交を展開しています。

中国首脳部は、自信を持ち野心的です。米国の国力低下を見据えた準備を着々と進めていますが、米国金融資本との一体化が見られ、危険です。

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