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▲本山美彦さん


▲証券取引所は、再び活気を取り戻しているが…

▲本山美彦著/ 268ページ/ 作品社 /¥2100/オバマやG20は、世界恐慌を止められるか?―日本を代表する国際経済学者による、緊急書下し。
更新日:2009/12/08(火)

[社会] 「今秋、ハイパーインフレ伴う恐慌第2段階に突入する」
──インタビュー 京都大学名誉教授国際経済学会顧問・本山美彦さん

経済恐慌は第2段階に突入する…

「11〜12月に株の再暴落が起こり、資源インフレを伴った経済恐慌の第2段階に突入する」こんなショッキングな経済見通しを述べるのは、大阪産大教授・本山美彦さんだ。最近もてはやされている株価上昇についても、昨年来の金融恐慌の教訓が全く生かされず、相変わらずだぶついている資金が物作りに向かわず、投機マネーとして流動しているだけだ、と分析する。さらに、こうした欧米投機資本は、中国の政府系ファンドとも結びつき、資源・農産物への投機に再び向かい、ハイパーインフレを引き起こす恐れもあるという。『金融権力』の著者・本山氏による経済予想を聞いた。(文責・編集部)

金融の一人歩きと実体経済の縮小

昨今、ニューヨーク株価1万j越えが、もてはやされ、「景気の底入れ」観測が盛んに語られていますが、各国政府・市場は、「ムード作り」に懸命です。特に日本は、「底入れ」とはほど遠く、11〜12月には株が再暴落すると予測しています。

理由を説明します。まず、金融の一人歩き現象は、全く変わっていないということです。お金が、物作りに回らず、相変わらず株や石油や金への投機へと向かっています。ここ数ヵ月の株価の上昇はまさにこの結果です。

投機は、夜空を彩る打ち上げ花火のようなものです。華やかに夜空を染め上げますが、必ず一瞬で消え去ります。消え去ることがわかっていても、人は華やかな花火に魅せられるのです。

金融ゲームに狂奔した組織や人も、これと同じです。何度も煮え湯を飲まされながら、カネが面白いように入ってきた幸福感が忘れられず、しばし謹慎した後、再び投機に向かっているのです。

一方、実体経済はどうでしょうか? まず失業率です。米国で約10%、日本で5%程度と発表されています。しかし、日本の失業者はハローワークに登録している人しかカウントされず、社内失業者もいますから、実体は10%を越える可能性もあります。米国も、実体は15%位でしょう。こんな高失業状態が米国で21ヵ月、日本では29ヵ月も続いています。

設備投資は、日銀の発表によると25%低下しています。企業は、この先売上げが伸びるとは思っておらず、景気アンケートでは、8割を超す企業が「底バイ」か「今よりは悪くなる」を選択しています。「米国金融危機再燃」と「米国経済の2番底」を警戒しているのです。自動車生産は、平均で30%を越える減産です。三菱などは50%超です。

エコ・カー減税などで消費は一時的に煽られていますが、販売の落ち込みは構造的で長期的傾向です。電気・自動車産業が悲鳴を上げています。

今後、企業倒産が激発するとともに、投機マネーの破壊的活動により世界経済崩壊の危険性が高まっています。

日本にもあるサブプライムローン危機

米国の中小銀行倒産が、猛烈な勢いで広がっています。ご存じのようにサブプライムローンは、住宅バブルを生み出した元凶ですが、このローンの延滞(貸し倒れ)が25%にのぼっています。米国では、住宅ローンが払えない人がローンの貸し手である銀行や不動産屋に住宅の鍵を郵便で送り返す「ジングルメール」が激増しています。家を失う代わりに、ローン返済は免除されるからです。

日本のように、家も取られたうえに借金も残るというのとは違います。この「ジングルメール」を、1000万世帯以上の人々が郵送しました。

こうして手放された家が大量に出回り、住宅価格はさらに下落し、銀行や不動産業者は売るに売れないのです。こうして、資金繰りが立ちゆかなくなった中小銀行が倒産していっているのです。

では日本は?というと、事態はもっと深刻です。しかも、こうした統計すらないのです。かつては住宅金融公庫の営業資料を見れば、おおよその見当がつきましたが、今は闇の中です。今年4月に金融庁が調査したところ、住宅ローンの延滞率は3%を超え始めているとのことです。危機ラインと言われる2.5%を既に超えています。

亀井金融相が、ローンの返済猶予を提案して物議を醸していますが、亀井大臣はこうした情報を手に入れたからかもわかりません。今後、日本のローン延滞率に注目が集まるでしょう。こういった統計が整い始めたら、みんな縮み上がるのではないでしょうか。金融庁も非常に心配しています。

私の実感としても、若い夫婦の引っ越し風景をよく見るようになりました。無理をして住宅を買ったものの、どちらかが失業し、ローンを支払えなくなったのではないかと思います。こうした日本版サブプライムローンの延滞率は、米国の25%を上回っていく可能性もあります。

こうした住宅ローンの貸し手である銀行のうち、体力のない中小の銀行は、この実態が明らかになった時点で倒産へと追い込まれるでしょう。崩壊は突然やってきます。この秋から冬にかけて、銀行の倒産が頻発する可能性があります。

金融危機の直撃を受けて、実体経済を担う企業倒産も増加し続けてしていることは、隠しようもない事実です。株価の上昇と実体経済は全く無関係に動いており、経済の実態は悪化の一途をたどっています。

ドル離れと資源インフレ

米政府は、7000億jの資金を投入し、金融機関の不良債権を購入する金融安定化策を打ち出しました。金融安定化への効果のほどには大きな疑問がありますが、7000億jがいかに法外な大きさであるかは、国家予算との比較でもわかります。08年度の連邦政府予算は、3兆9000億jです。つまり年間国家予算の24%にあたるわけです。

大統領府が金融機関救済のために用意した資金の総額は、初期には1兆ドル程度でしたが、09年5月時点では3兆jまで拡大しています。ちなみに、米国のGDPは15兆jです。これだけの巨額の資金が散布されてしまえば、ハイパーインフレーションの危険性が非常に高くなります。

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