人民新聞オンライン

タイトル 人民新聞ロゴ 最新版 1部150円 購読料半年間3,000円 郵便振替口座 00950-4-88555┃購読申込・問合せはこちらまで┃人民新聞社┃TEL (06) 6572-9440 FAX (06) 6572-9441┃Mailto:people@jimmin.com
反貧困社会編集一言政治海外情報投書コラムサイトについてリンク過去記事

▲創業者の生誕地の「ヤンマー記念館」前で抗議活動
更新日:2009/03/01(日)

[社会] ヤンマー、外国人を派遣斬り

「期間従業員は生産増減の調整弁。他の会社もやっている」(ヤンマー)

1月30日、雪を被る伊吹山からの寒風荒ぶJR長浜駅(滋賀県長浜市)前。派遣切りにあったブラジル人労働者ら10数名が抗議のビラを撒き、マイクを握っていた。すると「あんたら労働組合の人か?ヤンマーに文句言うてるんか?」と険しい顔の中年女性が飛び込んできた。長浜は、ヤンマーの企業城下町。10`北には創業者・山岡孫吉の生家もある。ビラ撒きへの抗議かと思いきや、「息子が2人とも年末にクビを切られた。ヤンマーは本当にひどい。頑張ってや!」。涙ながらの激励であった。

長浜には、キヤノン・三菱樹脂の工場もあり、非正規労働者が各地から来ている。住民登録している非正規労働者は3100人(昨年8月)で、7割を外国人労働者が占める。人口構成を見ても総人口(約8万5千人)の内約5%が外国人労働者とその家族で、これに住民登録しない、あるいは不法滞在者を合わせると、相当な数に上るはずだ。長浜市でも昨年末から派遣切りが横行し、多くの外国人労働者たちが職を失い、途方に暮れている。

この日労働者達は、ヤンマー現場責任者宅への抗議行動と長浜駅前での宣伝、さらにヤンマー業務請負企業=渡辺工業への抗議活動という1日行動を展開した。ここでは、日本人期間工と外国人派遣労働者が共同でヤンマーの雇用責任を問うている。(編集部・山田)

開き直るヤンマー

「私は、ヤンマーのために一生懸命働いてきました。ヤンマーは仕事に厳しいのに、何で私たちの当たり前の権利を無視するのでしょうか?」

ロメルさん(38才)は、ボリビア生まれで在日18年になる。20才の時に日本国籍をとり、子どもも2人いる。派遣労働者として18年、あちこちの工場で働いてきた。08年3月からはヤンマー長浜工場に派遣され、組み立て作業をしていたという。残業も多く、仕事はきつかったが、家のローンの支払いもあって、よく働いた。

様子が変わったのは、昨年半ば過ぎからだ。同工場で働く派遣社員だった佐々木さん(後述)らがヤンマーの労働者派遣法違反を告発し、滋賀労働局が是正命令。ヤンマーは違法を認め、250名の派遣労働者を期間従業員として直接雇用する約束をした。ロメルさんも7月に期間工として直接雇用されたものの、不安定さは変化しなかった。6ヵ月間の契約を繰り返す有期雇用契約だからだ。いつでもクビを切る為の脱法行為なのである。

ところが、ヤンマーは「生産調整」を理由に、一度の更新もすることなくロメルさんを解雇した。団体交渉でヤンマーは「期間従業員は生産増減の調整弁。他の会社もやっていること」と開き直った。

「外国人に有給はない!」

ボリビアから4年前に来日したアギレラさん(44才)は、渡辺工業の子会社であるトミーワークサービスからヤンマーに派遣され、組み立て・塗装などの作業をしていた。

契約は2ヵ月毎の更新で、12月20日に更新したばかりだったが、1月10日に解雇を告げられたという。同社で4年働く間に、30日の有給休暇が残っていたが、それがわかったのは、解雇通告の後だった。トミーワークサービスは、有給休暇の存在も知らせていなかったのだ。会社は労組との団交でこれを認めたが、この時アギレラさんには有給を使用する雇用そのものがなくなろうとしていた。

アギレラさんは、「私はヤンマーの厳しい規則を守って働いてきた。なのに会社は法律を守らない。家族もいるので、このまま仕事が見つからなければ帰国するしかない」と不安げだ。

コルテスさん(33才)は、「仕事がない」と12月に解雇通告を受けた。1ヵ月後の1月4日付で解雇という。ヤンマー塗装部門の業務請負をしている渡辺工業に3年前に雇用され、雇用契約を結んだのは1年目のみで、その後も働き続けており、法律上「期間の定めのない雇用」だ。

突然の解雇通告は、議論の余地なく「解雇権の乱用」だが、コルテスさんが怒っているのは、会社が「外国人に有給休暇はない」と言い続けてきたことだ。雇用保険の未加入も発覚した。雇用契約書もなく、労働基準法違法のてんこ盛りだった。

奥さんと子ども2人とアパート暮らしをしているコルテスさんは、母国に帰ろうにも旅費がないという。「ハローワークに行っても仕事は全くない。雇用を継続させる他、生きる道はない」と抗議活動に力を入れる。

続きは本紙 【月3回発行】 にて。購読方法はこちらです。
[HOME]>[ 社会 ]


人民新聞社 本社 〒552-0023 大阪市港区港晴3-3-18 2F
TEL (06) 6572-9440 FAX (06) 6572-9441 Mailto:people@jimmin.com
Copyright Jimmin Shimbun. All Rights Reserved.