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更新日:2009/01/17(土)

[社会] 東京日比谷/命を支える派遣村

「実際に派遣切りに遭った人が『自分も手伝いたい』と協力を申し出てくれたのが、とても嬉しかった」と梶屋大輔さん(グッドウィルユニオン委員長/フリーター全般労組)は語る。12月31日から1月5日まで、東京・日比谷公園で開かれた「年越し派遣村」には500人超の労働者たちが集まった。派遣村実行委員として運営に関わった梶屋さんと、関西から派遣村支援に駆けつけたAさんに話を聞いた。(編集部 一ノ瀬)

派遣村」企画のスタート

昨年11月29日・30日に全国ユニオンなどが実施した「派遣切りホットライン」では、全国から472件の相談が寄せられ、派遣切りの深刻な実態が明らかになった。その結果を踏まえて立ち上げられた「派遣切り対策会議」の中で、派遣村の案が出たという。「12月上旬には『やるという話が出ているよ』との情報が伝わってきていました」と梶屋さん。

計画の中心になっていたのは関根秀一郎さん(派遣ユニオン)、湯浅誠さん(NPOもやい)、棗一郎さん(日本労働弁護団)ら。梶屋さんが実行委として初めて参加したのは12月28日。急遽、山谷の越冬闘争での共同炊事を見学するなどして準備を急いだ。その段階で実行委員は10名程度だったという。反貧困運動の中核を担ってきた面々の迅速な対応が際だつ格好だ。梶屋さんは「派遣労働問題の専門家と、炊き出しなどの経験やノウハウを持つ人々が協同し、大規模な取り組みができた意味は大きい」と語る。

派遣村」のインパクト

「派遣切りにあって困っていたが、NHKで見て来ました」「すごい報道されてたよ」―「テレビも新聞も目にする余裕がなかった」という梶屋さんだが、派遣村を訪れる労働者たちが口々に話しているのを聞いて、マスコミ報道の影響は実感していた。

派遣村は日増しにふくれあがった。当初、派遣村に来る人数を100〜150名と想定して準備をしていたが、初日の時点で120名が入村登録し、すでに「テントが足りない」と危機感が出ていた。そこで2日午後、緊急に厚生労働省に宿泊場所確保を申し入れ、半日も経たないうちに厚労省が講堂を提供することに決まった。「厚労省の目の前で、派遣切りにあった人たちの衣食住を確保して『村』として可視化したのはすごいインパクトでした」(梶屋さん)。その時点で登録者は200人を超えており、その後も続々増えた。

労働者たちは、テレビ・ラジオ・新聞の各メディアでの報道を目にして各地からやって来た。「広島のマツダの工場で11月に派遣切りになった方は、なけなしの貯金も底をついていたところ、たまたま東京に出てきていて派遣村のことを知ったそうです。また、日比谷までの交通費がなく、何時間もかけて遠方から歩いて来た人もいると聞いています」(梶屋さん)

派遣村には失業者だけではなく、炊き出し・相談活動・パトロール活動・コンサートなどの支援・ボランティアのべ1700名の人々が駆けつけ、2000万円を越えるカンパが届けられた。

一方、報道で引き寄せられたのは善意だけではなかった。Aさんが派遣村の移転先の1つである体育館の様子を見に行った時のこと。不動産会社の人間が「マンションを紹介する」と言い寄ってきた。結局『保証金が払えないんなら、ダメですね』と言って帰ったという。「みんな『何しに来たんだ!』と怒っていました。ここでも食い物にされるのか、と」(Aさん)。ハイエナのような業者の実態だ。

梶屋さんもAさんも、ここまで大きな反響を呼び、国を動かした一因を「マスコミの報道」と分析する。しかしそれも、この間の運動の積み上げがあって初めて実現したことだ。「『画になる』ということで過熱報道になった面もあったのでしょうが、これまでの偽装請負問題などの流れで『今、労働者がとんでもない状況になっている』という雰囲気は下地としてあったと思います」(梶屋さん)。

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