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更新日:2008/12/30(火)

[コラム] 遥矢当/死後の行き場さえもカネ次第の世の中で

戻ってきた遺骨

「うちの父のお骨なんですよ、母の部屋に置いておくくらい出来ないものですか!」夫婦の遺族は喪服のまま勢ぞろいし、私に強弁してきた。初夏のある日、私が勤める施設では、救急搬送のミスによる事故死を経験していた。しかし、遺族は不慮の死に際し、その遺骨の管理に手をこまねいていた。告別式を終え斎場から骨壷を抱えたその足で、しばらく遺骨を預かって欲しいと訴えるべく私の施設に直行してきたのだ。

普通、施設や病院から斎場に向かった場合、遺骨は無縁仏でない限り戻ってくることはない。遺族は「羞恥」の気持ちもあり、施設には最期の姿を見せたくないものだ。そんな滅多に見ることのない入居者の遺骨と、呆然とした遺族の姿を見つめ、私は予想外の事態に動揺して立ち尽くした。

事故は、私が担当していたフロアで起きたものではなかったが、現場に居合わせたスタッフによるずさんな対応は、介護に対して真摯に取り組む他のスタッフに暗い影を落としていた。正直私自身、男性が亡くなった一件については憤りを覚えていたが、事態を真摯に受け止めるだけだった。

亡くなった男性は、長年夫婦寄り添って暮らしてきたが、子どもたちがその将来に不安を感じるあまり、促されて夫婦で入居された。しかし、男性のほうは認知症の進行が著しく、夫婦間で介護度の差が開き過ぎたので、折角ながら夫婦分かれて暮らすことになった。2人に新たな生活が始まった矢先のことだった。

  ※    ※

「あなた達の対応が悪くなければ、父は亡くならなかったんです」と続けた。家族にとって施設内にいる職員は、部署に関係なく同じ存在だ。今回の事故は職員そして施設全体の過失であると考えても無理はないだろう。家族は「入居時の契約書の中でどの部分に『居室内に遺骨を置いていけない』と書いてあるんだ!契約で部屋を自由に使う権利がこちらにあるんだ、好きにさせろ!」とまくし立てた。契約時に取り交していない話に反論は出来ない。私は口をつぐんだ。

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