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植田恵子さん
中国雲南省で日本語教師を務めた後、渡米。各地の大学・高校で日本語教師を勤める傍ら、マサチューセッツ州立大学教育学部で英語教育・多文化教育で修士習得。現在、ノースカロライナ州立大学ローリー校で専任日本語講師。
更新日:2008/11/27(木)

[社会] 学力向上は安定した家庭・コミュニティから
ノースキャロライナ州立大学ローリー校講師 植田恵子

アメリカの低所得層地域で暮らして

データを取って、それを教育改善に使うなら意味があると思います。

10年前、ノースカロライナ州はSAT(大学進学適性試験。全国で同時に実施される)の成績が全国50州で48番目。そして、10年後の去年は42位。このような基礎力のない子どもが多い地域ではある程度の実力テストはやる必要があります。

以前に暮らしていたアパートは家賃が安く、日本人は住まないような低所得層地域にありました。アリの友達の親(黒人)も共働きで、お父さんはダブルワークで仕事をしていました。だから、子どもの勉強をみてやる暇はありません。その子はよく私のアパートに遊びに来ていました。白人の女の子もいました。母親はシングルマザーで、ボーイフレンドと住んでいるのですが、二人がよく大喧嘩するので、うちに避難しに来ていました。「もう遅いから家に帰りなよ」と言っても帰らない。

スクールバスを待つ間に黒人のお母さんたちと話すのですが、こう言います。「ウエストバージニアから子どもを連れて、兄弟を頼って引っ越してきた。学校がひどくて、3年生なのに読み書きもできなかった」と。そして今、「子どもは時計が読めるようになったんだよ」と嬉しそう。彼女も文盲で、子どもに教えることができないんです。

そういう地域で暮らしていて、学校でできることの限界を感じました。まず安定した家庭、社会、コミュニティがなければ、子どもは勉強なんてできないでしょう。

それに、南部に転居してからというもの、人種差別がひどいのにもかかわらず、それに対する取り組みのなさに驚きました。もちろんアリも、アジア人だということでいじめの対象になりました。でも、以前に暮らしていたアムハースト(マサチューセッツ州の町)では「一人ひとり、違っていいんだよ」という教育を徹底的に受けましたから、南部の人種差別にへこたれるようなことはありませんでした。

しかしテスト結果公開で一番怖いのは『ベル・カーブ』のような「知能の大部分が遺伝によって決定される」という主張がはびこることです。1990年代に刊行されたこの本は、私達も大学院で読まされました。要するに「IQテストをしてみると、マイノリティ(黒人)の点数が低い、これは彼らが遺伝的に劣っているから仕方がない。だからいくら彼らの教育にお金を投入しても無駄だ」という理論。本当の原因はsocioeconomic background(社会経済的な背景)なのに。

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