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更新日:2008/10/31(金)

[コラム] 遥矢当/認知症高齢者が安心して暮らせる街

「おはようございます。私は随分歩きました…」―朝刊を取りにポストへ向かった私は、玄関先の道端に腰を下ろす高齢の女性からこう声をかけられた。今から10年前の夏の日ことだ。当時私は、東京都大田区にある実家に住んでいた。

陽に焼けた顔が活き活きとしたその女性は、目元が定まらない。見知らぬ女性だったが私は、すぐに門扉を開けて実家へ招き入れた。玄関で彼女が脱いだ靴と足元は、汚れて黒ずんでいた。私は母親に、お茶と清拭を持ってくるよう頼んだ。見知らぬ老女は、ホッとした表情で「お疲れ様でした」とつぶやくと、扇風機の前に腰を下ろした。 当時、東京都豊島区のデイサービスに勤め始めたばかりの私は、視線が泳ぐ彼女の横顔を見つめながら、認知症の高齢者に特有の「徘徊行為」であることに気づいた。職場で習ったばかりだったからだが、実際に目の当たりにすると冷静ではいられなかった。 彼女はどこから歩いてきたのだろう?見かけない顔だし、遠くからずいぶん歩き回ったのかな?などと、思いが巡った。私は職場で、「認知症の高齢者は、普段から方向感覚が保てず、突然自宅から外出することがある」と教わっていた。だから勤務先のデイサービスでは、衣服に名前と住所、電話番号の記名をお願いしている、と教わっていた。

もしかしてと思い、玄関先に座る女性のポロシャツの襟元の裏側を見た。白い名札に住所・氏名・電話番号が記載されていた。横から白い名札をのぞき見ていた母が「警察に電話するのが先じゃないの?」と、不安げに言ったが、騒動が大きくなるのと、彼女の徘徊行動の記録が警察に残るのは、好ましくないと思った。迷わず名札に記入されていた番号に電話をかけた。

電話を掛けると、呼び出し音が聞こえなかった程の早さで、相手に繋がった。

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