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更新日:2008/04/09(水)

[投書] 野宿者強制排除は問題だろうか?

はじめに

人民新聞・モニターである白潟さんから「大阪市の強制立ち退き、強制排除は何が問題なんだろうか?」という意見が寄せられた。「行政はシェルターを用意しているのだから、問題があるのなら変えていく方向で闘う方がいいんじゃないか」と述べる。

この意見を、扇町公園に居住する森下さんに読んでもらい、意見を書いてもらった。同時に掲載する。

大阪市のシェルターは、生活環境が生活保護施設以下である。その意味で野宿者は二重基準におかれている。行政が上記シェルターのような不十分な施策しか提示していない現状では、公園などで生活することに一定の正当性があるのではないか。さらに野宿者が正当な選択肢を得るには、シェルターの適正化・民主化とともに、強制的な排除を禁止していくことも必要だ。シェルターの実情を伝えるとともに、「社会的弱者」が踏みにじられることのない社会のあり方を模索していきたい。(編集部)

野宿者側からの「シェルター」正常化運動が必要では?
●建築労働者 白潟政彦

他人の土地に勝手に住めば、責められても当たり前だろう。公園・公道は住宅地として認められているわけじゃない。なぜ、生活することが許されていない場所で生活することを「当たり前だ」って考えられるんだろう。行政がただ闇雲に排除を行うのではなく、シェルターを用意しているのだから問題が見えにくい。

東京・山谷の場合は(今は知らないけど)品川に冬場だけの収容施設を作っていた。しかし、入らない者も多かった。コンビニをはじめとした商店から離れていること(世間から隠すためか埋立地に作られていたんで、そばには何もなかったらしい)、生活の自由が制限されること、仕事をしようとしても、少なくとも日雇いの仕事はそこでは得られないこと、春になれば閉所されてしまうこと、その他の理由で、あえて山谷に残る者が多かったらしい。

大阪のシェルターにも同じような問題があるんじゃないかと思う。それでも、行政がシェルターを用意しているのなら分が悪いと思う。

むしろ、「シェルターが機能していない」ことが問題だと思う。「シェルターで何が行なわれているのか」「シェルターとは何なのか」を明らかにする中で、シェルターを労働者側から正常化するために闘うことが大切なような気もする。

「負け組」と呼ばれる人たちが日々つらい生活を我慢している。工夫しながら何とか生活を続けている。人間として生きられないほどに社会的立場の弱い者が、行政からすら踏みにじられるならば、そのことに怒りを感じる人は多いだろう。

行政と対峙する中で人間として生きるということがどういうものかを訴えていけば、今よりも多くの人をひきつけることができるかもしれない。

私はこう思う〜野宿の立場から
「生き抜く」ための場を求めるのは善悪の問題ではない
●森下さん(仮名・扇町公園)

私は野宿者です。もちろん、生まれながらの野宿者ではない。三〇年もの間、税金を納め、社会に貢献してきたと思っている。ある時から野宿者となった。なった理由は人それぞれであるから、ここでは書かない。

世間の差別的視線を感じ、嫌がらせを受けたりする。夜中、公園のベンチで寝ていると、爆竹は投げられるし、バッグを数人の若者に引ったくられたこともある。寒波が来ると、「死んでもいい」と思うくらい寒い。

私は生きてゆける場所を求める。生き抜いてゆきたい。だから公園にテントを立てる。良い、悪いの問題ではない。

ゆとりとみどりの職員が、公園で枯れ木を集めて同じ長さに切って束にしてひもでくくっているのを見ると、野宿者に「シェルターや自立支援センターに入れ」と言っているのも、これと同じじゃないか、と思えてくる。

私を含めて多くの野宿者は、アルミ缶を集めダンボールを集めて生活をしている。人の物を盗むわけでもなく、迷惑をかけないように気を遣いながら。多少なりとも税金(消費税)を払って生きている。膨大な税金を食うシェルターなどに入らなくても、自分の力で生きてゆきたいと望んでいる。アルミ缶やダンボール、リヤカーなどを置ける場所さえあれば、「リサイクルに貢献している。社会に少しでも役に立っているんだ」という気持ちで生きてゆける。

釜ヶ崎・三角公園へ行ってみてください。シェルターに入るため大勢の人が並んでいます。

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