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更新日:08/03/05(水)

[社会] 原発推進の目的は「核武装」への技術確保
京都大学原子力研究所 小出裕章さんインタビュー

はじめに

「温暖化防止の為に原発」というキャンペーンを小出さんは、一笑に付す。理由は3点だ。

原発は、@ウラン採掘・精錬・濃縮、原発建設で膨大な資材とエネルギーを投入し、CO2を排出している。A「ウランが燃える時」にCO2を出さないが、代わりに膨大な「死の灰」を生む。さらにB原発は、年間1000億トンの海水を7℃上昇させており、温暖化を促進する。

「温暖化防止」にとって原発は、最悪の選択だと言いきる。エネルギーの際限のない浪費こそが問題の本質であり、温暖化防止を本気で考えるなら、経済成長を止めるのが本質的な解決だと語る。 京大原子力研究所に小出さんを訪ね、3月末にも本格稼働が始まる六ヶ所村再処理工場、関電プルサーマル再開宣言などについて意見を聞いた。(文責・編集部)

「温暖化対策の救世主」なんてお笑い種

地球は非常に複雑な仕組みをもっており、温暖化の原因がCO2だという単純な主張には、私は疑問をもっています。しかし、仮にそうだとしても原発推進は最悪の選択ですし、日本には原子力推進ではなくやるべきことがあります。

日本は、世界中で森林を伐採し、CO2削減に逆行してきた国です。森林はCO2の大切な吸収源であり、まず、伐採を止め、森林保護から始めるべきです。

原発が、ウラン採掘から製錬・濃縮時に放射性物質を生み出すことも忘れてはなりません。日本政府は、人形峠で試掘したウラン採掘残土を始末できずに放ったらかしました。結局、動燃は、残土の内ウラン濃度の高い二九〇立米を「鉱石」として米先住民の土地に捨てました。残りは、放置されたままで、原子力開発の最初に生じる残土すら始末できないのです。

低レベル廃棄物は、三〇〇年間管理する必要がありますが、たかだか五〇余年の歴史しかない電力会社が、三〇〇年間も保管できるわけがありません。だから政府が「責任を取る」と言っています。しかし、三〇〇年前といえば元禄時代、赤穂浪士の討ち入りがあった時代です。自民党が三〇〇年後に存在する可能性はゼロですし、日本という国家があるかどうかも定かではありません。後世にツケを回す、無責任極まりない政策です。

高レベル廃棄物となると、一〇〇万年です。保管技術もないまま、三〇〇bから千b下の土中に埋め捨てるようですが、これを本当に安全管理しようと思ったら、どれ程のエネルギーと費用がかかるか想像もできません。もちろん、想像もできないほどのCO2を出すことになってしまいます。

六ヶ所村は三月末稼動後、すぐに停止

再処理工場の最大の問題は、核軍事技術開発が本格稼働することです。核燃料再処理技術とは、プルトニウムを取り出す核軍事技術の中心技術です。

核燃料再処理は、経済性を度外視した事業です。六ヶ所村の再処理工場は、年間八〇〇dの使用済み核燃料を処理する計画です。四〇年間で三二〇〇〇d。この処理費用が一二兆円です。一dあたり約三億八千万円です。日本が、英・仏に委託した処理費用は、二億円/dでしたから、六ヶ所村の再処理は、計画どおりに完璧に動いたとしても、約二倍の費用がかかります。

計画通りに稼働しているの再処理工場は世界に一ヵ所もありません。東海村の再処理実験施設の稼働率は、二割以下です。この稼働率だと処理費用は、二〇億円/d。委託費用の一〇倍となります。さらに政府・電力会社がいう一二兆円の予算は、一〇〇兆円位に膨らむでしょう。つまり委託費の一〇〇倍の処理費用をかけようとするバカげた工場です。

それでも三月三一日には、無理矢理本格稼働するでしょう。彼らのメンツがありますし、年度内に動かせば補助金も税制上の優遇措置もあるからです。でもトラブル続きの見切り発車ですから、事故が起こって停止・再開を繰り返すでしょう。こうして経費がかさみ、経済的に破綻し、内部から崩壊していくでしょう。

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