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更新日:2008/02/03(日)

[社会] 遥矢当/介護の現場からこの国を糾したい

破綻しているこの国のシステムを看取る

「これからの新しい時代で何が出来るか。自分を試してみたいと思います」──一〇年前の師走、私は最初に就職した東京都豊島区のデイサービスを、こんな言葉と共に退職しました。思えば当時は、介護保険制度が成立して、介護現場の再編が始まり混乱が拡大した時期でした。

介護にとって新しい時代が始まったのは事実でした。大杉栄のように日々「美はただ乱調にあり」と思う私は、訳もわからず介護の未来に胸を躍らせたのは事実です。

それまでに、この国が培ってきた福祉社会のすべてを覆して、まるで救世主のごとく現れた介護保険制度。あれから一〇年を経て、二〇〇八年は節目の年を迎えます。ところが、期待された介護保険制度で救われたのは、誰一人としていません。節目の新年は、これまでの自分と、これからの自分を総括してみる良い機会だと思います。

私が、人民新聞に連載してきた「バリアのない街」で、主張し、願い続けたのは、「誰もが社会に縛られることなく、自由に生きる」ことだった思います。連載が始まった当時、私はすでに一〇年近く高齢者介護を仕事にしてきました。そこでの日々は、学んだことも多くあった一方で、その倍以上に苦しい思いで過ごしました。介護現場の日常から、様々な社会矛盾も垣間見ました。

介護が必要な自分の親を、親とも思わない冷酷な子どもたち。法令どころか人道を無視し、利潤の追求に走る老人ホームの経営者たち。介護の仕事が好きなのに、低賃金で自分自身の生活が成り立たなくなった介護職たち・・・。そんな状況を見つめて、私は何をしたら良いか。その術をまるで知らず、悔しいながらも独りもだえ苦しむような日々でした。

私はそれまでインターネット上では、社会に対して様々な不満に声を上げてきました。ところが介護に関しては、半ばあきらめの気持ちを抱いてしまっていたと思います。「どうせ、介護なんて誰にもわかってもらえない世界だから」と。

けれど、私のその思いが変わったのが、二〇〇二年の三月三〇日に、桧森孝雄氏が桜が満開の日比谷公園で死を遂げた時でした。社会、そしてこの国に対して私以上に怒りを露にした桧森氏。その思いは、最後に自らの命を断ってぶつけきりました。桧森氏は、かつて神奈川県大和市の特別養護老人ホームの介護職でした。私はそんな桧森氏の遺志を継ぐべく、介護を職業として選んだ者として、介護の世界からこの国の矛盾を糾していけないものか?と志すようになりました。

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