人民新聞オンライン

タイトル 人民新聞ロゴ 最新版 1部150円 購読料半年間3,000円 郵便振替口座 00950-4-88555┃購読申込・問合せはこちらまで┃人民新聞社┃TEL (06) 6572-9440 FAX (06) 6572-9441┃Mailto:people@jimmin.com
反貧困社会編集一言政治海外情報投書コラムサイトについてリンク過去記事
更新日:2007/12/31(月)

(株)川崎陸送、組合つぶしの職場閉鎖

経営悪化で社員はクビ、しかし競走馬は手放さない樋口恵一社長((株)川崎陸送)

「再就職先の斡旋も謝罪もない一方的な解雇。こんな提案、飲めるわけがない」。―名古屋・九州への転勤か身分転換に応じなければ全員解雇、との会社の最期通告に、浜崎利彦さん(三七才)は、来るべきものが来たと思った。

昨年五月、勤務先である川崎陸送・京都営業所が、基本給の減額や手当類の廃止で二割以上の賃下げを提案して以来、労使紛争が続き、会社側のロックアウトとも言うべき配車拒否による自宅待機が続いていたからだ。

会社が提示した割り増し退職金は、最終回答として六〇〇万円。通常退職金を合わせても、これまでの年収をわずかに上回る額だ。八年前に買った自宅のローンは、まだ三〇年払い続けなければならない。小学校五年生を頭に三人の子どもの教育費もこれからが本番だ。

閉鎖後の処遇提案として示された倉庫荷分け作業への配置転換は、年収にして三〇〇万円以上の減収になる。しかも募集は四名で、組合員はバラバラにされる。

叶崎陸送は、従業員数=五三〇名の中堅物流企業だ。運輸業界再編に伴い正社員を解雇し、下請業者に置き換えることで大幅なコスト削減を目論んでいる。組合活動が最も活発な京都営業所輸送部門をつぶせば、全社的な転換は容易となる。

「業界再編に伴うコスト削減」と言えば、何でも正当化されてしまう新自由主義的価値観。ワンマン社長は、競走馬を三頭保有し、競馬に興じる一方で、事業部門廃止による全員解雇で労働者はどれ程深刻な生活破壊を被るか?川崎陸送の争議を追ってみた。(編集部・山田)

年を越せるのか?

輸送部門廃止期限を翌日に控えた一一月一九日、断続的に四時間にも及んだ団体交渉の休憩時、石田茂樹さん(三八才)は、通常退職金の支払い日を聞いても良いのか?組合交渉委員に聞いていた。

昨年からの賃下げで、家計は急速に悪化。三人の子どもは親にみてもらって専業主婦だった奥さんもパートで働き始めた。一一月からは自宅待機で大幅減給は避けられない。それでも住宅ローンの支払いは、滞るわけにはいかない。事業閉鎖に反対しながらも退職金をあてにせざるを得ないのだ。

運送事業部門閉鎖後の処遇提案として会社は、@転勤、A系列変更=フォークリフト乗務(京都=一名、埼玉県坂戸=三名)、倉庫荷分け=四名、B希望退職募集(割り増し額=三五〇〜五〇〇万円)、を提案した。しかし、@転勤先は、名古屋と鳥栖(佐賀県)で住宅手当は、一万円。「二重生活の補償としてはお話しにならない」(浜崎さん)金額だし、給与そのものも二割以上の減額になるという。A系列変更は、給与体系が全く変わるので、三〇〇万円近い減収となる上、トラックドライバーとして蓄積してきた技能とプライドが失われる。「会社提案は、事実上退職の強要でしかない」と石田さんは考えている。

石田さんが入社した一九九五年頃、川崎陸送はコカ・コーラの全国輸送を独占し、明治製菓他の大手食品メーカーという安定した顧客を獲得していた。ところが「貨物自動車運送事業法改正」(一九九〇年)で事業者の免許制が許可制に自由化されたのを期に、新規参入が相次ぎ、コカ・コーラ輸送部門の北海道・東北・四国を失ったのをはじめ、輸送費の値下げ競争が始まる。

川崎陸送は、通関・保管・荷役・流通加工・配送までの一貫物流企業への転換をめざし配送センターの再編を行うと共に自社車両増加を行った。石田さんら労組員の入社もこの頃で、京都営業所の運輸部門も増強されたのだが、この経営戦略が裏目に出る。設備投資にもかかわらず売り上げが落ち、収支は急速に悪化するのである。

続きは本紙 【月3回発行】 にて。購読方法はこちらです。
[HOME]>[ 社会]


人民新聞社 本社 〒552-0023 大阪市港区港晴3-3-18 2F
TEL (06) 6572-9440 FAX (06) 6572-9441 Mailto:people@jimmin.com
Copyright Jimmin Shimbun. All Rights Reserved.