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更新日:2007/11/16(金)

[社会] 現場を窮地に追いやった「障害者自立支援法」

応益負担が脅かす障がい者の生活

「障がい者が地域で安心して暮らせる社会を実現する」という名目で「障害者自立支援法」が施行されて一年半が経った。従来の支援費制度に代わり、障がい者に費用の原則一割負担を求め、障がい者への福祉サービスを一元化し、「保護から自立」を促すというこの法律が、地域の障がい者にどんな影響を与えたのか。大阪府吹田市の「ぷくぷくの会」の上田かおりさんに、現状を聞いた。(編集部)

強制される自立

「一生懸命働いてお給料をもらっているのに、自立支援法になって、お金を払うようになったため、働いても何も買えない。我慢しています」

「グループホームでは、掃除や洗濯をヘルパーさんとできなくなった」

「就職してお金がほしいです。でも、心配なところはいっぱいあります。実習へ行ったり、作業を一生懸命がんばってやったりしているけど、実際に社会に出て、差別とかいじめとかあったら、長続きしないと思う。障がい者のことを分かってくれたらいいけど、『冷たい目』とか、『いややな』とか思われないか心配です」──ぷくぷくの会の作業所に通う当事者たちの意見だ。

「夢はもう見れないのかなー」。長男・敦さんがダウン症で、ぷくぷくの会の共働作業所に通う大音英子さんは、ため息をつく。英子さんは、高校の教師を定年退職した。「地域で育って欲しい」との願いで、敦さんは中学卒業後、ぷくぷくの作業所に通いながら定時制高校を卒業。二〇才になって障害基礎年金の受給も始まり、英子さんは、年金を基礎に自立していく敦さんを思い描いていた。そんな矢先、自立支援法が実施となり、将来像が大きく揺らいだ。

敦さんの月収入は、障害基礎年金(八万円余)に作業所での工賃=約二万円を加え一〇万円余りだが、「自立支援法」実施後、作業所の利用料や昼食の実費負担等で工賃分がほぼ相殺され、ホームヘルパーの利用料負担(一万円前後)も加わり、差引七万円程度に減った。これも吹田市の激変緩和策で一部補助があるためで、本人負担額は年々上がり、三年後には差引収入が五万円程度にまで減少する。「これで敦の自立生活は全く目処が立たなくなった」と英子さんは不安を語る。

英子さんは、敦さんの収入を可能な限り貯蓄にまわしていた。親が働いている間に敦さんの将来の生活資金を確保するためだ。厚労省は障がいのある子どもをもつ家族会へのアンケート調査を行い、ほとんどの家族が障害年金の一部を貯蓄していたという結果を根拠に利用料本人負担を求めた。しかし自立支援法実施後は、貯蓄どころか、生活費の目処が全く立たなくなった。自立支援法は、敦さんの自立の条件を奪い、親の不安を大きくしている。

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