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更新日:2007/08/24(金)

[コラム] きくちゆみ/平和憲法守り自民党に対抗する政界再編を

大きな危機を孕む民主党の大勝

今、この原稿を沖縄で書いている。沖縄は普天間基地の代替施設として海上基地が建設される予定の辺野古と、ヘリパッドが建設される高江の問題で揺れている。

今回の選挙中に、辺野古の海を米軍基地建設から守るために非暴力の活動をしている平良夏芽さんが、海底に潜っている時にタンクのバルブを閉められ、殺されかかるという事件が起きた。

米軍基地をつくるために、日本政府が海上自衛隊の「ぶんご」を沖縄にさしむけたように、今や武力の行使や威嚇を禁止した憲法を持つ私たちの国で、このような暴力が行われているのだ。

この美しい海と森に軍事施設はまったく似合わない。しかし、アメリカ政府の決定はいつもそのまま日本政府の決定となり、一番弱い者、小さい者たちを押しつぶしながら実行されていく。

二〇〇七年七月二九日、参議院選挙が終わった。結果は民主党の一人勝ち、自民党の大敗北、護憲政党の衰退となった。

自民党が大敗したのは、年金問題に加え、閣僚の相次ぐ問題発言が効いて、いつもは自民党に投票している無党派層も「お灸を据える」意味で民主党に投票したと思われる。

私個人としては、応援していた川田龍平さんが激戦区の東京で現職の自民党候補を押さえて議席を獲得し、沖縄では護憲平和候補の糸数慶子さんと山内徳信さんが揃って当選したことに小躍りした。しかし全体の結果を冷静に見ると、決して手放しでは喜べない。

「憲法九条を守る」ことを公約に掲げた社民党や共産党は選挙区では全敗し、比例区でも議席を減らした。憲法問題では有権者の心をつかめないということか。しかも一人勝ちした民主党は、「比例区定数の削減」という公約を掲げているのだ。社民党と共産党は、次の選挙でも同じことを繰り返すのだろうか。

アメリカの政治を見続けている私は、二大政党制には反対だ。小選挙区制で二大政党制のアメリカ型政治では少数意見が切り捨てられ、死票も多く、理想的な民主主義とはほど遠い。

民意が反映されない中でのイラク戦争は泥沼状態となって、早くも「第二のベトナム」と揶揄されている。それでも二〇〇六年の中間選挙では、アメリカの有権者はブッシュ大統領に「ノー」を突きつけたことは、特筆すべきだ。

しかし、アメリカが民意に反して世界中で戦争を続けることは、アメリカ人にとっても世界にとっても不幸なことである。

私は日本の政治は、アメリカ型の政治ではなくて、むしろ北欧型の政治をめざしたほうがいいと思う。民意が反映されやすい比例代表制の北欧の選挙制度をもっと日本も見習ったらいい。私は共産党や社民党が第三極として少数意見や市民運動の受け皿となる役割が大切だと思っているので、今回民主党の一人勝ちを許したことは、実は大きな危機を孕んでいると危惧している。

「偽メール問題」で引責辞任した民主党前党首の前原氏などは、自民党よりも右派であり、民主党の多数は改憲派でもある。彼らが本当に自民党に対抗しうる野党かどうかは疑問だ。

小泉劇場で自民党が大勝した二〇〇五年の郵政民営化選挙の時でも、実は選挙区では野党がより多くの票をとっていた。もし野党票を一人の候補者に集中することができたなら、自民党が大勝することはなかったのだ。

護憲派共同候補を追求しよう

そこで、私が関わってきた「平和への結集を求める市民の風」(略称「市民の風」、http://kaze.fm)では、一人区では民主党、二人区以上と比例区では護憲政党(共産、社民)へという指針を出した。

私たちが最も恐れていたのは、年金問題が民主党への追い風になりすぎて、彼らに票が集中しすぎる結果として、護憲政党が衰退してしまうことだった。残念ながらその通りになってしまった。

「市民の風」はもともと護憲政党の共闘を働きかけていたのだが、党の壁は厚く、私たちの要求は受け入れらなかった。

そこで、今度は有権者を対象に、一人区で有力野党候補に票を集中させ(与野党逆転のため)、その見返りに比例区と複数定数区で護憲政党(共産か社民の有力候補)に入れる、という指針を出したのだ。

今回は宣伝力不足、時間不足もあり、私たちの主張は広く浸透しなかった。しかし、次の衆議院選挙は水面下でもう始まっている。今回の結果を見るかぎり、「市民の風」の予測は的中しており、今回のような護憲派乱立では共倒れ現象が起きるだけである。

次の衆議院選挙は、政権交代するかどうか、そして政界再編が起きるかどうかを占うことになろう。

もし九条護憲派をより多く当選させることを望むなら、護憲派は共同候補の可能性を積極的に模索すべきだ。

また憲法だけを訴えていたのでは有権者にそっぽを向かれるだろう。年金であれ教育であれ、その問題と憲法を結びつけて訴えることが大事だと思う。

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