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更新日:2007/05/15(火)

[コラム] 安倍首相「従軍慰安婦」否定発言/ライター 古川晶良

侵略の歴史の忙殺を許すこの国の現在を自らに問え

二〇〇七年三月一日、安倍首相は日本軍性奴隷問題について「強制性を裏付ける証拠はなかったのは事実」「定義が変わったことを前提に考えなければならない」と記者団に語った。NHKニュースでは政府筋(発言が誰なのかは不明)が「当時は公しょう制度もあったし、戦場になっている地域に迷惑をかけないために従軍慰安婦を連れて行ったことは、ほかにはないことをやったのであり、そういう視点からもみてもらえないかと思う」と述べたと報道した(今年三月三日)。底を見ない無恥に呆れ返られるほど筆者は寛容ではなく、怒りは言葉にならない。

一九九二年の七月六日、内閣官房内閣外政審議室は第一次調査(「朝鮮半島出身のいわゆる従軍慰安婦問題について」)を発表。 翌九三年の八月三日には第二次調査(「いわゆる従軍慰安婦問題について」)を発表した。

これを踏まえて、九三年八月四日に出されたのが「『慰安婦』関係調査結果発表に関する内閣官房長官談話」(「河野談話」)である。河野談話は慰安所は軍の要請をもとに設営され、設置・管理・慰安婦の移送について旧日本軍の直接/間接の関与があったこと、それが「総じて本人たちの意思に反して行われた」と認めた。そして、「われわれはこのような歴史の真実を回避することなく、むしろこれを歴史の教訓として直視していきたい。われわれは、歴史研究、歴史教育を通じて、このような問題を永く記憶にとどめ、同じ過ちを決して繰り返さないという固い決意を改めて表明する」と述べた。しかし二〇〇七年現在、日本の全ての教科書から「従軍慰安婦」という単語は消え、「つくる会」の当初目的の一つの達成を許したまま二年が過ぎようとしている。自民党の「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」結成から一一年が経ち、民主党でも若手議院を中心に「慰安婦問題と南京事件の真実を検証する会」が発足した(〇七年三/九)。加害の歴史を隠滅しようとする政 治家の妄言は、目に見えて増加・横行している。

河野談話に実際に目を通された方は、これが現政府の公式見解として継承されているとは信じ難いだろう。しかし忘れてはならないのは、加害認識を持ち被害者へ責任をとると表明したこの談話は、河野が意識ある人間だったから出たのではないという点だ。九〇年代当初、勇気ある被害女性たちの告発が世界的に拡がった。国内外の世論が高まる中でついに無視できなくなった政府が調査をした結果、(言うまでもなく不十分な調査・認識であるが)軍の関与と強制性を認めざるを得なくなった。河野は、官房長官の立場から政府見解をただ発表したに過ぎない。言うまでもなく、日本軍性奴隷制度を否認し続けてきた政府が初めて出した公式見解において、調査が浅すぎるという批判こそあれ、被害実態を捏造することは在り得ない。彼らが「見直せ」という調査を行ったのは、彼ら自身なのである。

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