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大阪市役所前で5日間の野営闘争で高裁判決を引き出した釜ヶ崎労働者ら
更新日:2007/03/23(金)

[社会] 大阪高裁が「住民票削除は違法」の仮処分

大阪市、消除方針変えず

「大阪高裁で、住民票の職権消除処分差し止めの仮処分決定が出ました!」──三月一日午後、大阪市役所前の釜ヶ崎労働者・支援の人たちの間に歓声が上がった。釜ヶ崎解放会館に住民登録している金村洋さん(仮名・三四歳)に対して、大阪高裁は「差し止め請求の判決確定まで、住民票の職権消除をしてはならない」とする仮処分決定を出した。

大阪市が予告した住民票消除の期限・三月二日を前に、釜ヶ崎の労働者たちは、二月二六日から市役所南側の公園で野営に入っていた(二面参照)。「連日、市内各地で署名集めやビラまきをしています。今週は冷え込みがきつくて、風邪をひいた労働者もいますが、死活問題なので、みんな必死です」(釜ヶ崎炊き出しの会・中田さん)。「ビラの受け取りはすごくエエですよ。『頑張ってください』『大阪市はヒドイ事しよんなぁ』とか声が返ってきます。毛皮を着た女性や、若者が署名してくれたり、関心は高いです」(徳山さん・仮名)。

司法判断歪曲する暴挙

これまで大阪市は、「居住実態のない住民票は、職権で消除する。住民基本台帳法に基づいた適正化だ」(西成区役所住民情報課・辻元康裕課長代理)との見解を貫いてきた。関淳一大阪市長も、二月二七日の記者会見で「行政として、違法な状態をこれ以上看過できない」と語っている。

労働者たちは、この仮処分決定を踏まえて、他の人々の住民票についても職権消除をしないよう申し入れし、大阪市からの回答を待った。ところが翌二日の回答は「当面、簡易宿舎(ドヤ)での住民登録が可能なことを広く周知させることが必要だと判断した。選挙日程を考慮して三週間程度の周知期間を設ける」という、先送り宣言だった。

大阪市は、三月一日に「ドヤでも住民登録可能」という方針を業者組合に伝えた。しかし、高裁判決は「ルールは十分なものとはいえず、周知徹底するのにも相当な時間がかかる。その状況のもとで、金村さんの居住実態があるドヤでの住民登録が支障なく行われる保障はない」と判断している。

「これは、高裁決定を完全に誤解した、大阪市の暴挙です」と笹沼弘志さん(静岡大学教授・憲法学専攻)は語る。「ドヤに泊まるお金がない人も多数いるわけですから、これで問題が解決するわけではありません」

数週間から一ヵ月の間、仕事で釜ヶ崎を離れることが多いという金村さんは、「大阪市は、飯場に働きに出ている人たちのことを何も考えてない」と指摘する。「投票日に飯場にいる人はどうなるんでしょうか。居住実態が飯場だと、あちこち仕事でまわる労働者は、いつまでたっても参政権を行使できません」

昨年一二月以降、釜ヶ崎労働者は、西成区役所との交渉や、説明会の要求、集会・デモで大阪市への抗議をおこなってきた。

二月一六日には、釜ヶ崎解放会館・失業と野宿を考える実行委員会のメンバーが東京に足を運び、総務省・厚生労働省との交渉を持った。その中で総務省が明らかにしたのは、@今回の住民票消除について、大阪市と国との間で話はしていない。ただ、大阪労働局(あいりん職安を管轄)と話をしたとは聞いている。A住民票消除については、自治体の義務ではなく、裁量の範囲内だ、という二点。

つまり、住民票消除は、大阪市が関市長の責任において決めたことなのだ。

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