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更新日:2007/02/20(火)

[社会] 介護を仕事にする人の私的な介護とは?/遥矢当

「在宅診療」テーマにした友人だったが…

「どっかで見たことある名前だなぁ」。友人の肉親の介護に携わる日が来た。届いたFAXを見つめて私は驚いた。私の会社が横浜市で運営している有料老人ホームからの入居申込書だった。申込者は、友人である女医だ。母親の介護申込みだった。こうなると、事務的な契約作業を進める訳にはいかない。すぐに電話をかけた。

彼女は、とても元気そうだった。唐突な電話に最初は戸惑っていたが、入居契約の御礼を伝えると、笑い声が上がった。聞くと、七三歳の母親の認知症が進み、日中独りになる家庭環境では火の始末や戸締りなど不安という事であった。ここまでは、よくある話である。

が、私は「チョッと待て」と思った。女医として彼女がこれまで言ってきた事と、実際やっている事が違うからだ。

彼女の勤める病院は、父子三代続いてきた。最近では「在宅診療」をテーマに掲げ、「介護が必要な高齢者が施設や病院に入らなくとも、在宅で同じ暮らしを続ける事ができる」と、私にも力説してきたはずだった。

彼女自身も往診に出かけ、NHKのドキュメンタリー番組で特集されもした。

番組では、認知症の高齢者が、適切な介護と医療によって、自立した生活に近い生活が送れる姿が映し出されていた。高齢社会に希望が見出せる内容だった。

一週間後、彼女の母親に会いに行った。毅然とした態度だったが、やはり話の辻褄が合わない、衣服の着合わせが合っていないなど、認知症特有の症状を見せていた。

穏やかな表情が続いていたが、私が「お嬢さんを存じ上げております。お世話になりました」と伝えると、「あんな子は知らない」と機嫌が悪くなった。これ以上の会話はコミュニケーションが悪化する。話題を変えて、改めて申込書の内容を見た。

友人には年の離れた姉がいたが、異母姉妹であった。父親は、若い頃奔放な生活を送っていたようで、生活歴にもその変遷がうかがえた。母親は彼女の実母だったが、二人の関係は認知症が発症する前から微妙な関係であったらしいのだ。

ホームの関係者によると、母親は「離婚するか介護施設を探すか」の二者択一を迫られての入居であったという。友人は私に母親についてはあまり触れられたくない様子だった。介護の取り組みで美名を得た立場なのに、実情を知られて羞恥を感じているようなのだ。

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