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更新日:2006/11/12(日)

[コラム] イ・ウンジャ/北朝鮮核実験の裏

本当の脅威は何処に?

一〇月九日、一斉に報道された北朝鮮の核実験。私が一番最初に思ったこととは、核への恐怖でも、何故この時期にこんなことをするのか?という疑問でもなかった。政治のカードは「しろうと」の私にも見えるからである。

私の頭をよぎったのは、「拉致事件」発覚当時の異常なまでの北朝鮮バッシング報道であった。今回の「事件」もまた、いつまで執拗に報道されるのかという不安であった。

四年前の九月一七日、「平譲宣言」の出た一ヶ月後。ちょうど秋の深まる今ごろ、アメリカから韓国に行く途中、東京に立ち寄り「在日」と日本人の旧友たちに会った。

東京駅近くの喫茶店で、私も含めて六人だったと思うが「拉致事件」後の日本社会の反応を話していた時、突然友人の一人が、「そんな大きい声で『韓国・北朝鮮・在日』などいう単語を使うのははばかる」と言った。その言葉にどれ程驚いたかわからない。

一九七〇年代の韓国、民主化闘争が苛烈極まっていた頃の独裁政権下にいるわけでもないのに、なぜ「在日」の人々がここまで身を潜めるように生活しなければならないのか!という怒りと同時に、その当時日本で生活していなかった私にはそこまで敏感に神経をすり減らさねばならない緊迫感を「身体的」に共有しきれていなかったのだ。

ニューヨークに戻り、テレビの日本語放送を見て少し理解できた。時世を優先させなければならないはずのニュース番組が、タイムスリップしたように過去の映像をふんだんに用いて編集され、あることないことをあたかも現在、今この瞬間の北朝鮮の現実かのように放映する手法でのバッシングである。一部は事実に即しているのかもしれないが、ここまで脚色するのか。これはニュース番組ではなく「ドラマ番組」だと思わざるを得ないことも多々あった。

この様な報道が日本列島を席巻すれば、北朝鮮擁護の話でなくても「朝鮮・韓国」に関連する話題を巷の喫茶店で話すにも周囲の目を意識しなければならないだろうと、妙に納得した。

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