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更新日:2005/03/23(水)

[コラム] バリアのない街第4回 介護の原点とは? 社会の一員として暮らすこと

昨年の暮れ。小春日和の午後、私は市民の文化センターに通ってきた近隣の高齢者の方々と他愛もない会話を楽しんでいた。話に花が咲き、私がケアマネージャーであることを明かすと、一人の男性がおもむろに尋ねてきた。「・・・ヘルパー利用の支払いは折半やろ?」わが耳を疑うご発言であった。この初歩的な質問に、周囲の人々も横槍を入れない。「いえ違いますよ。介護保険を利用しますからご負担は利用の一割です」

大阪の西側に構えるこの自治体は、昔ながらの商店街に人々の行き交う息使いも聞こえて、さながら私自身幼少の原風景を眺めるようでもある。何となくこの街では、時間が逆戻りしているような錯覚すら覚えた。

介護保険制度が施行されて五年が経つ中で、震災後の復興に苛まれた自治体は、高齢者に対して一番重要な施策への対応を怠っていたままだったのだ。「介護保険証ってお持ちですよね?」「いや、そんなもん持っとらんでぇ」持ってない訳はないのだ。自治体も確かに送付しているはずなのだが、その重要性の認識を高めないままで、今日に至っているのだ。

介護保険制度は本当に必要な制度なのか?

こうした街並みで日々を過ごすと「介護保険制度はやっぱり必要な制度なんかじゃないよなぁ・・・」という思いが、日々の活動に比例してますます強くなってくる。十分ご承知と思うが、ケアマネージャーとは、介護保険制度の認知度を高めていくという活動も仕事の一つでもある。しかし正直に書くと、私は介護保険制度が高齢者の間で浸透していくことにはそれほど興味がない。この制度をフルに活用した人達、機能的かつ経済的なケアプランを作成した人達が、理想的な晩年を過ごせたとは言いがたい現実を見てきたからだ。このまま広報活動を進めて高齢者が制度を理解しても、今の介護の問題は残ったままだろう。介護の問題を含めて時代の流れに敏感な晩年の生き方が、最後で納得がいくかは、保険制度とは別な話なのだ。

むしろ現在問題なのは、自治体をはじめとする行政の中途半端な施策と、その対応だ。自治体職員の多くは、この複雑な制度を理解し切れていないから、高齢者や地元の介護業者に対して説明しようにもできないのだ。広報活動はサボり気味だし、適切に制度が運用されているとは言い難い態度も見せる。さらに介護保険制度の不備欠落は黙って見過ごし、末端の介護業者に重要な判断を一任してしまってもいる。「介護は民間企業に移行した」という意識が彼ら行政マンにはあるのだろうか。「公的」という言葉が、最初に付く介護保険制度。制度の名前に曖昧なニュアンスを持たせてお茶を濁し、行政の責任を明確にさせない状況だけは認めたくない。

保険制度がなくても「介護」は成立する?!

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