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更新日:2004/11/24(木)

[海外] イスラエルに学んだ米国流「中東民営化」

アラファトを殺したのは誰か?

民族解放を悲願とする人々を抹殺する権利は誰にも無い筈である。

しかし今や、米国の安全と利益に刃向かうものは、民族解放闘争といえども「テロリスト」と規定される。かって欧米の人種主義と植民地主義の代償として作られた人工国家・イスラエルが、二〇世紀から二一世紀にかけて五〇年以上もパレスチナ人の郷土と住民社会を占領し続けていることも、「反テロ戦争」の一つだと言うのである。

そんな情況の中で、パレスチナ大統領・アラファトが、原因不明の奇病で急死した。

彼は、民主国家パレスチナ建設への最終段階を闘い抜く解放闘争の一兵士として、一〇年前に返還された占領地の一部に帰還した後も、軍服を手放さずにいた。

だから、陰謀による毒殺であれ奇病であれ、闘いの途上で倒れたのは、彼自身にとっては民族解放の悲願に命を捧げた者の覚悟の内であり、栄誉でもあるだろう。しかし、パレスチナ解放闘争の指導者・アラファトを急死に追いやったのは、イスラエルと米国政府の果てしない野望である。

アラファトの暗殺は、イスラエルによるパレスチナ指導者暗殺の最終目標だと公言されてきたもので、パレスチナ解放の悲願を完全封殺することを狙ったものだからである。

イスラエルと米国政府は、パレスチナ建国を餌にパレスチナ側に譲歩に継ぐ譲歩を要求し、パレスチナがイスラエルの属国になることを拒否すると、即座に「テロリストの黒幕」呼ばわりして和平交渉を中止して排除した。 

私たちの現代世界は、イスラエルに占領された人々の抵抗の権利、そして社会生活を営む人間的な尊厳の破壊を支持する一方で、人権擁護や動物愛護や環境汚染抑止を主張している。つまり、イスラエルの占領と虐殺行為に眼をつむり、「暴力の応酬」を止めさせることを要求する。

全ての国連決議を無視してきたイスラエルが、あらゆる和平交渉を頓挫させてきた事実を忘れて、新たなイスラエルの要求に沿って「中東和平」を実現することを主張するのである。

これが、パレスチナの解放を先送りさせ、アラファト暗殺に手を貸し続けてきたのだとは言えないだろうか。

ファルージャ包囲虐殺作戦

二〇〇四年一一月一一日の今を、私たちは、一〇年後にどう振り返ることになるだろうか。

アラファトが急死する四日前に、一年半前に「戦争は終結した」はずのイラク占領米軍の一万二千の兵力が、ファルージャを包囲、攻撃開始した。戒厳令下でファルージャ・バクダットの民間ネットが、「病院や住居の中の市民に多大な犠牲者が出た」という、悲鳴のようなレポートを発信し続けている。私たちは、米軍の「今までにテロリスト一千人を殺害し、一三日までには全市を制圧する予定」という自慢げな発表よりも、市民の現場目撃情報を信じるようになってしまっている。

それは、米軍司令官メッツ少将が攻撃に際して、「テロリストやサッダムの残党と言う悪魔が巣食う砦を殲滅せよ」と命じたが、その発言の裏で、おびただしい数のイラク住民の虐殺が進行していることを知っているからである。人口三〇万人の都市を包囲攻撃し住民を殲滅するという暴挙を、米軍部は「ベトナム戦争以来の大戦闘だ」と興奮し、住民とその社会生活の抹殺をまったく恥じない狂信的な軍事力至上主義が繰り返されている。

このファルージャ虐殺は、ベトナムにおける米軍の犯罪だけでなく、八二年のイスラエル軍による「パレスチナ勢力の一掃」というベイルート住民への包囲攻撃を思い起こさせる。アラウイ首相は、イスラエルの占領政策と協働した右翼キリスト教民兵勢力の役割と全く同じで、米国がイスラエル方式を学んでアラブ全土に敷衍しようとする石油資源と市場の確保のための「中東民主化市場計画」の犯罪性を浮き彫りにしている。

これには、もう一つの恥知らずなオマケがついている。小泉首相は、ブッシュのポチどころか手先として、同僚であるイラク首相=アラウイの言葉を丸ごとコピーして、「ファルージャ攻撃は成功させなければならない」と言い放った。彼もまた、ファルージャで殺戮される人々のことなど全く眼中に無いのだ。全土に敷かれた戒厳令にもかかわらず、「自衛隊が居るところが非戦闘地域である」と失政を糊塗する。

ブッシュ政権の非人道政策を後押しして恥じない小泉政権を打倒しなければ、日本政府だけでなく、日本の民衆までがアラブ民衆の敵になってしまうだろう。何故なら、アラブの人々が持っていた「平和憲法の国・日本」への信頼そのものが、米国の占領支持と自衛隊派兵によって壊され続けているからである。

旧い運動に告別し、新たな地平へ

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