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更新日:2004/03/06(土)

[海外] パレスチナ/入植者の楽園=ガザへ行こう!

イスラエル政府による至れり尽くせりのサービス!

一生一度の大儲けをしたかったら、ガザへ行こう。そのためにイスラエル政府は、親切に武装車両を用意してくれている。ガザへ行けば、二階建て・芝生つきの住宅が、ただ同然で手に入る。政府は金持ちだ。温室を作って、花や野菜を栽培できるぞ。一昔前だったら、パレスチナ人を小銭で雇えた。土地を取り上げられたので、土地を奪った君ら入植者のもとで低賃金で働くしかなかったのだ。

でも、今は危なくてパレスチナ人を雇えない。しかし、タイ人出稼ぎ労働者がいる。彼らも低賃金で働く。その上、最低賃金法・年次有給休暇・解雇手当などの法律問題もない。ガザには、イスラエル法の適用がないからだ。一九六七年以前、エジプト領だった頃のエジプト法律があるだけだ。しかもそれは、エジプト人だけに適用される。

安価な労働力で作った産物を、ヨーロッパへ輸出すればよい。もちろん偽名を使うなど、巧妙にやらなければならないが、ちゃんとヨーロッパ市場には出る。イスラエル・EU貿易協定違反になるから、ブリュッセルの役人が怒るだろうが、放っとけばよい。大事なことは、ユーロ札束を手に入れることだ。

もちろん「安全」という問題はある。何しろ、君ら七〇〇〇人の入植者は、パレスチナ人の真っ只中で暮らすことになり、彼らの土地と水資源を、君らが奪っているのだから。でも、気にすることはない。イスラエル軍が守ってくれる。数十世帯の入植者を守るために一個大隊がいる。ガザ回廊には一個師団がいる。本部があちこちにあり、軍用車両が走り回っている。大変な出費だが、みんな政府が払う。入植地がパレスチナ人居住地の隣りにあっても心配はいらない。軍が近隣のパレスチナ人の家を破壊して、一帯を「クリーン」にしてくれる。その分、入植地が拡大できる。身の回りの安全にだけ注意して、金儲けに精を出せばよい。

しかし、これはほんと手始めだ。もしガザ回廊の「入植地撤退」の決定がなされ、その決定が実行されれば、それによって大金が転がり込んでくる。政府が「補償」してくれるからだ。ベギンがシナイ半島の入植地撤去をした時もそうで、入植者はひと財産稼いだ。中には撤退拒否する者もいたが、そうすると補償費が倍増した。結局、金を受け取らなかった入植者は、一人もいなかった。シナイ半島を出た入植者はたっぷり金をもって、アメリカやオーストラリアへ行った。ずるい連中は、隣のガザへ移り住んで、もう一度補償金のチャンスを待っている。

チャンスが来たようだ。シャロンが、ガザの「入植地撤去」を口にしたのだ。入植者たちは、テレビ局へ押し寄せ、目を天に向け、「我々はアスカロン・アシュドド・テルアビブを守るために入植したのだ。だから政府(破産寸前だが)は、入植地にもっと何十億jも投資すべきだ」と宣言する。なんといっても、我々は本物のシオニストだからだ。入植者万歳!シオニズム万歳!

イスラエルの「いつものやり方」

ところで、シャロンは「ガザの入植地のほとんどを撤去する」と言ったが、本気だろうか?「ほとんど」というのは全部ではない。彼は一九六七年、グリーンライン近くの「三入植地は置いておく」というのだ。

これは、イスラエルの常套手段である。占領地の一部から撤退する時も、さんざん大騒ぎした後、一箇所か二箇所を残して撤退する。結局はそこからも撤退するのだが、それまで紛争が長引く。あの広大なシナイ半島からの撤退の時も、油田からも撤退、入植地も撤去したのに、大して重要でない、タバという観光地に軍を残した。そのため長い間紛争が続き、最終的に引き上げた。レバノン撤退の時も同じで、「安全保障地帯」を残した。数百人死者が出た争いの後で「安全保障地帯」から撤退。しかしシェバア農場を残した。今でも、そこに駐屯するイスラエル兵から死者が出ている。シャロンは、ガザの入植地撤去を約束したが、「三入植地は残したい」という。いったい、何度目の約束だ?どういうつもりだ?本気なのか?

しかし、誰もがそれは「目くらまし」だってことは直感している。今週彼は、賄賂容疑で警察の取り調べを受けた。世間の目を、そのことからそらせたいのだろう。さらに、司法長官を、「もし自分を起訴すれば、和平への重大な一歩を妨害することになる」と威嚇しているのかもしれない。また、近々米大統領と会うことになっているが、その前に自分が真剣に和平と取り組んでいる印象を伝え、ブッシュから祝福と数十億jの援助金(入植者配分用)を貰いたいのだろう。

しかし、単なる目くらましだけではない。彼の「包括的戦略」の一部だといえる。彼は、身体を守るために指一本を犠牲にする。百万人も不必要なパレスチナ人が住むガザと、二、三の孤立した西岸地区入植地を犠牲にして、残る西岸地区の大部分を併合することに米国の同意を得る戦略なのだ。

これは、別に新しい戦略ではない。ベングリオンは二二%のパレスチナの地を「諦めて」、七八%を取った(国連分割決議では五五%だった)。ベギンは、シナイ半島を諦める代わりに、エジプトを戦争から退かせ、西岸地区占領作戦に専念できるようにした。シャロンは、西岸地区の五五%をイスラエル領にするために、ガザ回廊と四五%の西岸地区を放棄しようというのだ。

これは一方的な目論見で、パレスチナ人と交渉した結果ではない。パレスチナ人は、壁と電流の流れた有刺鉄線に囲まれた、それぞれに孤立した飛び地に押し込められたままだ。シャロンはこの計画をブッシュに売り込むつもりなのだ。「私は、ガザ回廊と西岸地区の中心部から入植地を撤去している。これは断腸の思いの決心です。これは和平へ向けての大きな前進です。しかし、そのような大きな政治的行動をするためには、米国の正式な是認が必要です。だから、私が西岸地区の大部分を併合しても干渉をしないと約束してください」。

もちろん、こんなことは平和と安全をたらすものではない。ハマスに、ガザと西岸の飛び地を与えるようなものだ。イスラエルへの攻撃、世界への攻撃を増加させるだけだ。終わりのない戦争をもたらすだけだ。しかしシャロンの目には、これこそが、彼流に理解する、シオニズム実現の決定的段階なのだ。地中海からヨルダンまでの間の、九〇%もの土地を領有する「大イスラエル」ができあがるのだ。

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