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更新日:(2004/02/19)

[海外]まともな指導も無いままに初めての地雷掘りにチャレンジ……カンボジア近況報告

生まれて初めての地雷撤去なのに…

地雷

さて実際の地雷撤去の方法ですが、館長のやり方は極めてシンプルです。地雷は長さ一メートル程の木の棒一本で探索します。この棒の先をナイフで削り、これで地面を三〇度位の角度でえぐるように掘っていくのです。実際この時まで、僕も撤去させてもらえるのか全く分からなかったのですが、ぽんと木の棒を渡され「ほな、やろかー」といった感じで作業が始まる。まるで「ちょっと日曜大工でもやるか」といったノリです。地雷掘りは初めてなんですが、作業前に館長から言われたことは、「こんな感じで掘ったらええから」の一言のみ。「え…それだけ?」

僕にとって、生まれて初めての地雷撤去作業にあたっての説明、五秒で終わり。何だかよく分からんまま作業を開始。正式の地雷撤去作業でも、金属探知機が使えない場合は、ナイフで地面を数センチずつ掘っていくという話を本で読んだことがあります。とりあえず「何か硬い物に触れたら、注意深く掘り起こす、って本で読んだよなー」とか思い出しながら、掘っていきます。

しばらくしてから、館長がふと思い出したように「そうそう、ワイヤートラップにも気をつけてな」。そういう事はやる前に言って下さい(泣)!

「ワイヤートラップ」とは、人が通りそうな所に針金や紐を張っておき、足が引っかかると作動する罠のことです。これ専用の地雷もあるし、手榴弾なんかでも作れます。また、地雷にこれを仕掛けておき、その地雷を撤去しようとすると繋げておいた紐が引っ張られて作動するダブルトラップなんかもあります。とりあえず辺りをよく見ても、あちこちに木の根やツタなんかが張り出していて、紛らわしい事この上ありません。とりあえず無さそうだったので、改めて地面を掘っていきます。

「本当にここに地雷があるのか?」

静かな森の中、木漏れ日の下で鳥の声なんぞ聞きつつ、せっせと地面掘ってると、なんだか地雷ではなく、山芋でも掘っているような気分になってきます。「いかん、僕は今地雷を掘っているのだ!気を抜くと死ぬぞ!」と自分に言い聞かせても、子供の頃遊びに行ったような森の中の道は、あまりにものどかで日常的な空間で、こんな中でやっていると「本当にここに地雷があるのか?」とまで思えてきます。「これはヤバイ!」と思い、気合を入れ直していると、隣で作業していた館長が「ほれあったよ、地雷だ」と声をかけてきました。館長の指差す方を見てみると、確かにそこにプラスティックの地雷らしきものが。他の人も集めてきて、解体作業に入ります。

まず、ダブルトラップがあるかどうか調べるため地雷の周りをゆっくり掘っていきます。次に地雷の下にもトラップがないか掘って確かめ、地雷を動かしても大丈夫な事を確認した後、信管を外す作業に入ります。

この時出てきたのは、ソ連製プラスティック対人地雷のPMNというタイプ。これは構造がシンプルで、解体が簡単(ねじ式のふたを二個取ると信管が外せる)なので、アレンが解体することになりました。僕も含め他の人間は、爆発したら間違いなくえらいことになる距離から、じっと作業を見守ります。

誤解されないように書いておきますが、普通の地雷撤去団体はこんなやり方しません。発見した地雷は、大体爆破処理します。解体する場合でも、事故の時の被害を最小限に抑える為、作業者以外は全員安全圏に退避します。館長は僕の一メートル程横で作業していましたが、普通はある程度の間隔を開けて作業します。これも引っ掛かった場合の被害(地雷撤去作業中の事故は、探索中が一番多い)を最小限に抑える為です。もちろん、探索の方法も全然違います。

普通は、まず一メートルの針金を地表にそって真直ぐ差し、それをゆっくり持ち上げます。これをポイントを変えて何回か繰り返し、その空間にワイヤートラップが無いことを確認した後、金属探知機で、地面の下の地雷を探します。地雷を発見したら、慎重に周りを掘り、状態を確認した後、ケースバイケースで対処の仕方を決定する─と、普通はこんな感じです。もちろん、ヘルメットと防護服を着用。館長は「そんなのかったるくてやってられるか」ってことで、Tシャツとズボンという軽装備、ワイヤートラップは自分の目で確認する、という感じでやってますが、カンボジアではこれは例外中の例外です。

実際に地雷が出てきてみると、先ほどまでの「本当にこんな所に地雷があるのか?」という疑念はさすがに消し飛びます。辺りは相変わらずのどかで、思わず「森の熊さん」とか歌いたくなるような風景なんですが、この森は熊さんの代わりに爆弾が出てきます。(U)

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