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更新日:(2004/02/15)

[海外] 世界社会フォーラム(WSF/インド・ムンバイ)に10万人

もうひとつの世界は息づいている!

様々な肌の色・カラフルな衣装、そしてあちらこちらから聞こえてくる太鼓・ドラ・口笛と歌声とシュプレヒコール。

1月16〜21日、第4回世界社会フォーラムが開催された。120ヵ国から10万人(主催者発表)の活動家がインド・ムンバイに集まった。世界はこれほどまでに多様だったのかという驚き。これがWSFに参加しての印象である。インドの「アンタッチャブル(不可触賎民)」と言われるダリットの人々は、強烈なビートに乗って踊りながら会場メインストリートをマーチする。スローガンは、「我々には水も食料も教育も手にいれる権利はないのか?」。またパレスチナ代表団は、「21世紀になってもなお、世界はこれほどあからさまな侵略と暴力を黙認し続けるのか?」と訴える。

しかし、多様さと混沌の中で共通する言葉がある。それは、「こんな世界はもうごめんだ!」という叫びであり、「新しい社会は息づき始めている」というスローガンに見られるとおり、未来を準備する人々の自信と確信である。 「もうひとつの世界は可能だ」というスローガンから始まった世界社会フォーラム(WSF)は、第4回を迎えて、「もうひとつの世界を作ろう」というスローガンへと進化しようとしている。(編集部)

混沌の中に新生の芽

世界社会フォーラムは、ムンバイ市街地から北へ車で約一時間の郊外=ネスコグラウンドで行われた。廃屋となった二つの工場(約一〇〇メートル×二〇〇メートル)を区切って五つのメインホール(各五〜八千人収容)をつくり、周辺の空き地や事務所跡の建物を利用しながらの開催だ。既存の施設を使用せず、会場も一から手作りというのもWSFの心意気を感じさせるにふさわしい会場設定だ。

したがってWSF参加は、決して快適とはいえない。乾季のため、それでなくとも埃っぽいのに、すさまじい数の人間が一ヵ所に集まり、デモをし踊るので、いつも土煙が濛々としている。気温は三〇℃くらいなので、ムンバイとしては最も過ごしやすい時期なのだが、エアコンなどは望むべくもない。日差しがきついので全ての人が水を持ち歩き、水分を補給しながらの参加となった。

一六日夜には、前夜祭が行われた。会場東側の運動場に約二万人(実数不明)が集まり、壇上には、インドの知性を代表するアルンドハティ・ロイ氏、パレスチナからムスタファ・バルゴウチ博士、占領下のイラクから民主活動家=アブドゥール・レカビーをはじめとする各氏が並ぶ。彼らのスピーチを前後して南アフリカのダンスチームやパキスタンのロックバンド、インドの詩人による詩の朗読などが行われた。

会場周辺で目を引いたのが、インド障害者ネットワークによるWSF糾弾デモだ。車椅子に乗ってデモに参加したアキール・ケレシさんは、「トイレがあっても段差があり、ほとんど利用できない。そんなことよりおかしいのは、あの壇上には障害者が一人もいないじゃないか!」と怒る。アキールケレシさんはコンピューターソフトの開発プログラマーだという。「障害者も社会フォーラム参加者の一部じゃないのか!われわれを排除するな!」と叫ぶ。こうした声に、組織委員会は、「次回のフォーラムに生かす」と応えているが、障害者グループの怒りは収まっていない。

こうした軋轢や批判を含みながらも、あけっぴろげな議論の場が、世界社会フォーラムなのだ。

日本から540名 帰って日本で何をするか?!

日本からは、以下のグループ・組織が参加した。アタックジャパン=四〇名、ピースボート=約三〇〇名、JR総連=一四七名、AALA(アジアアフリカラテンアメリカ連帯会議)=二五名、原水協・被団協=二四名。個人参加は把握できないが、おおよそ五四〇名がWSFに参加した。

ピースボートは、一六日にムンバイに寄港し、ユースキャンプで寝泊まりしながらの参加となった。旅程の都合で一八日にはムンバイを出航したが、四〇名ほどは全日程に参加し、特に最終日のデモでは元気いっぱい反戦を叫び、新しい世代の平和運動の姿をアピールした。

またJR総連は、秩父事件一二〇周年記念映画「草の乱」で使われた衣装をまとって登場し、注目を集めた。しかしJR総連が、反グローバリズムの運動の一翼を担うという場合、民営化を受け入れた過去の選択とどう整合し、あるいは変化したのかは、今後問われざるを得まい。なぜなら、「民営化」が新自由主義的グローバリゼーションの本質的要素である以上、JR総連が国鉄民営化を受け入れた背景と主体的な判断・選択と、その後の 労働運動の経過・総括こそが、いま民営化と闘っている世界の労働運動への貢献となるからだ。

日本からの参加者のためのコンタクトポイントを会場内に開設した「世界社会フォーラム連絡会」の小倉利丸さんは、「昨年のポルトアレグレに比べて、参加者が増えたし、横の連携もとれてきた。しかし、日本のグループとアジアをはじめとした世界の運動が、中身も含めてどれほど連携し、協力していけるかが今後の課題だ」として、「日本に帰ってきて何をするかが問われている」と語っている。

日本からの参加者の共同の報告会も計画されている。詳細が決まり次第本紙でも紹介する。

反帝国主義、反戦が焦点に

今回のWSFは、米英軍らによるイラク占領という事態を受けて、反戦運動の再構築が大きなテーマとなった。一八日には、「今後の世界的反戦運動の再構築」について丸一日をかけて戦術を含めた議論が行われ、各団体のスローガンにも、必ずと言っていいほど「イラクをイラク民衆の手に!」や「反戦」が入っている。四〜五千人収容の五つのホールでは、「どの様に富と権力を世界的に再配分するか」「ラディカル民主主義を強化する新しい解放闘争」「グローバル化した経済での企業権力への戦略」「帝国主義の道具=戦争・貿易・金融」などのテーマで、午前・午後・夜とびっしりパネルディスカッションやカンファレンスがもたれ、一二〇〇以上のワークショップや展示が行われた。

問題提起も、サミール・アミンが帝国主義論について激論を交わし、はたまた、元世銀チーフエコノミスト=ジョゼフ・スティブリッチが、世銀の経済政策を痛烈に批判するなど、レベルの高い議論が展開された。

また、社会主義戦線が主催する「民主主義をグローバルに進化させるための社会主義者の責務」「社会主義の今日・挑戦」(社会科学研究者主催)といった、社会主義者たちによるフォーラムも数多くもたれている(次号以降、参加したものの中から幾つか紹介する)。

最終日の二二日午後には、オーガストクランティからビクトリア駅までの約八`にわたってムンバイ市街地をデモ行進。夕方、ビクトリア駅近くの広場で、閉会式・コンサートを行って全日程を終えた。

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