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編集一言2008年01月ログ

『未完のレーニン』
 『未完のレーニン』(白井聡著、講談社選書メチエ)という本が静かに読まれている。書店の店頭に平積みになっていたので手にとって見た。ググッと引き込まれたので早速買って読んだ。大学の修士論文を本にしたらしく、文章が堅くて読みづらいのが難点だが、レーニンの古典『国家と革命』『何をなすべきか』を「科学的手法」で克明に分析した超力作である。
 著者の年齢が1977年生まれ30歳の若さには二重に驚いた。冷戦体制の終えん、ソ連崩壊以後のドグマ社会主義者の沈黙と、左翼インテリゲンチャの「総転向時代」にあって、「この輝くような日本の若い知性は、死せるレーニンを灰の中から立ち上がらせようと試みた」(推薦者、中沢新一氏)といえる。
 著者の新鮮な注目すべき視点は、レーニンの考えは「本質的にラディカル(根元的・急進的)であるのは現実、『リアルなもの』そのものだけであった」と捉えたことにあった。つまり、レーニンはすでに現実的(リアル)となった社会主義革命を急進化したにすぎないのだと。本質的な「ラディカル」は革命家や革命党にあるのではなくて、現実の革命そのものの中にあったのだというのだ。
 その鋭い科学的メスに目の鱗が落ちた感じである。まさに「老いては子に従え」ということか。(F)
2008年01月14日更新
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『危害の輸出 アジアで処分されるハイテクごみ』(日本語版 23分)
 パソコンやテレビのブラウン管には、鉛、カドミウム、バリウム、塩ビ、水銀、臭素化難燃剤など有害物質が含まれています。パソコンや家電製品、OA機器などのいわゆる電子廃棄物は、環境と安全基準の厳しい先進国で処理するとお金がかかるので、基準の緩い開発途上国に「中古品」という名目で輸出され、実際にはほとんど使用されることなく、劣悪な作業環境の下に、これらの廃棄物から銅や貴金属を回収するケースが多いと報告されています。
 二〇〇二年に、アメリカのNGO、バーゼル・アクション・ネットワーク(BAN)が、世界中から電子廃棄物が集まる中国のグイユという村を調査し、その回収作業の実態をドキュメンタリーとして発表し、初めて世界中に地球規模の電子廃棄物の問題を紹介しました。
 アメリカでリサイクル用に集められた古いパソコンの推定八〇%が実際には中国に送られ、リサイクル作業に雇われた一〇万人の貧しい移住労働者が、防具もつけずに、鉛入りのブラウン管モニターをハンマーで壊して銅を回収し、電子回路基板を火であぶって溶かし、金を取り出すために使用した酸性度の高い液体を川に流しています。
 このドキュメンタリーは、有害電子廃棄物の安くて汚いリサイクル≠ノよってもたらされる職業上及び環境上の危険性に光を当て、現代のハイテク革命によって引き起こされる世界の環境正義の問題に目を向けています。
 このビデオは、「重要な事実は、鉛、水銀、臭素化難燃剤などの有害物質を含む廃棄物のリサイクルは非常に危険であり、世界中のどこに行っても環境を汚染するビジネスであるということです。アメリカにおいてすら、精錬所はアメリカの最低環境基準を満たすことが難しくなっている時代です。そこで疑問になるのは、なぜアジアが、単に貧しいというだけの理由で有害廃棄物の負担を強いられなくてはならないのか?──ということです」とこのビデオは結んでいます。
 この問題は、日本も同じです。大量の電子廃棄物が中古品という名目で途上国に輸出されています。廃棄物は汚染者負担の原則に基づき、それを発生させた国が国内処理することを原則とすべきです。(安間武)
※申し込み先 化学物質問題市民研究会
2008年01月08日更新
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ドリスと僕たちの協同組合
 朝7時。車は大阪港にかかる橋をのぼり始めた。CDのサイモンとガーファンクルが『明日に架ける橋』を歌い始める。ドリスが声を合わせ、旦那のジュンも歌い始めた。僕は英語で話す言葉を探すことを止め、うす赤く染まった東の空に目をやった。
 ドリスが僕達の協同組合との交流でフィリピン・ミンダナオ島から来日して16年が経っている。彼女が能勢農場に植樹したサクランボや梅の木は、ほとんどが枯れてしまった。けれど、数本残った、その大きくなった木に頬ずりして、彼女は帰還を喜んだ。
 『私達は、協同組合の仕事に毎日かかわることができなかったの。子どもを育てて、家族が生活していくために、私も仲間達も雇われて働きに行く他なかったから。あなた達の協同組合が、多くの人達とつながり、若い人達が加わっていることを見て、うらやましかった』。
 ドリスは久しぶりに再会する友人達の名前と顔を驚くほどよく覚えていた。そして、そのほとんどの人達がミンダナオを訪ね、ドリス達の協同組合と交流していた。見ようとしなければ見えることのない絆。
 『でも、子ども達が一人立ちしたら、協同組合の仕事に私も専念できると思う。あなた達のように。私達も負けてはいられないもの』。
 僕達の協同組合に志は残っているのか。新しく加わった仲間達に熱い心を伝えて来ただろうか。
 関空へと向かう車の中、ドリスの歌声が響いていた。(M)
2008年01月05日更新
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映画『ジャーマン+雨』
 すごい映画を見た。「ジャーマン+雨」。16才の「ゴリラーマン」少女が田舎町をかけ抜ける。友達のセーラー服を業者に売りつけにいく。だめなら女装趣味の小学生に売る。ペドファィルのおやじをおどして金をとる。仕事では親方から「ゴリラーマン」と呼ばれ、ぼろくそに言われる。主人公の「よしこ」はそれでもめげない。罵詈雑言をまきちらし、想いのまま動きまわる。およそ「女らしい」と縁のない生き方。しかし彼女にはオーラがある。
 ひきこもりやニートといわれる若者が、世の中の矛盾をうすうす感じながら、それが何だかわからず、うつうつとしている。一見豊かになった日本は、自由があふれているように見えるが、自分が何をしたいのかわからないまま、「消費意欲」をあおられ、競走社会に放り込まれた彼らは、ひきこもることやニートになることで抵抗している。
 でもその抵抗は「力」にならない。「嫌なものは嫌!」と言えることが、どんなに大切なことか、彼ら彼女らは教えてもらわなかった。「怒り」を表現できない人は自分や身内に暴力をふるう。リストカットや自殺、家庭内暴力があふれている。この映画の「よしこ」は違う。嫌なものは嫌とはっきり言う。暴走少女「よしこ」万才!28才の横浜聡子監督万才!。
 若者よ、怒りを表現しよう。「よしこ」のように(「ジャーマン+雨」は、1月梅田ガーデンシネマでレイトショー上映)。(A)
 
2008年01月03日更新
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