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編集一言2006年08月ログ

働けなくなったら死ぬ社会
 自殺者が3万人を超すようになってだいぶになる。サンケイ新聞が「死を考える」を連載している。秋田県が自殺率日本一を11年続けていることは知っていたが、その中でも特に高いのが、今話題の子ども殺し事件の藤里町だという。
 前に読んだ本の中で、この町の人のあいさつは「元気か」「働いているか」だという。高齢者が、働けなくなった時、みんなに迷惑をかけてはいけないと、自殺するケースが多いという。高齢者の自殺率の低い沖縄との比較研究もあった(沖縄の若者の自殺率は高い)。
 働かないことを悪とみなす地域社会の中で、生活保護をもらうことはとても目立つ存在だろう。畠山鈴香容疑者がそんな町にいることも、この間のマスコミ報道ではまったくされていない。娘があまり風呂に入れてもらえず、「クサイ」といわれていたとか、容疑者を責める報道ばかりが先行しているが、容疑者自身が子ども時代、同じように共かせぎ親の元で同じような体験をしていたという。むろんイジメにもあっていた。私の勝手な憶測だが、畠山容疑者はそうした地域への抗議をこめた犯罪のような気がする。働けなくなったら死ぬ社会は、障害者に死ねというのと同じことだ。差別されイジメられてきた畠山容疑者の「こころ」を想うと、ドイツの「幸せな失業者」運動が日本にも必要だと思う。(A)
2006年08月30日更新
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『サクラと原発 調査・報告集(第V集)』
 『サクラと原発』〇六年版ができ上がりました。(調査・報告集V)、カラー四頁を含む三六頁です(四〇〇円)。なかなかのできばえです。
 二〇〇六年サクラ調査の概要と講評を市川定夫さん(埼玉大・遺伝学)が四頁にわたって分析し、特色を述べてみえます。
 望月さんの調査結果一覧表と、全国各地のサクラ調査者の報告分(一九人)も読みごたえがあります。ごらん下さい。
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 サクラ調査も三年になり、報告集作りも三冊目となりました。運動の全国的な広がりにともなって、集計作業も年々大変になり「うれしい悲鳴」でした。みなさんのご協力に感謝します。
 今年の集計結果の特徴は、原発現地での異常花率の高さは変わらないものの、原発以遠でも数々の異変が見付かったことです。ダイオキシンや農薬、排気ガスなどの影響なのでしょうが、私たちを取り巻く生活環境の悪化が思いの外進んでいることが浮き彫りとなりました。
 そうした結果を踏まえつつ、わたしは全国に広がった「サクラ調査ネットワーク」の運動も次のステップに移っていく必要性を感じています。例えば、原発周辺では調査地点を増やすなどして方向性や距離との関連をつめていくことや、アクティブ試験によって環境中に放射性物質を放出し始めた六ヶ所村再処理工場周辺で重点調査を行うことなどです。それぞれ原発周辺地域のみなさんだけだと大変でしょうが、「サクラ調査ツアー」とかいう形で多くのみなさんの協力があれば実現できるのではないでしょうか。
 また、原発以遠の地域で現れている異変についても、その原因が何であるのか調査を進めなければならないでしょう。私たちは専門家や学者ではありませんし、すぐに結論が見えるものでもありません。それでも少しでも真実に近づくために、私たち市民が関心を持ち続け、創意と工夫をもって活動し続けていくことが大切だと思います。
今井俊政(エコアクション )(『サクラと原発』調査報告集「編集後記」より)

『サクラと原発 調査・報告集』
パンフを広めて下さい(〒送料は、サクラネットが負担)。
▼1〜3部は、1部400円/4〜6部は、1部400円(プラス1冊贈呈)/7〜10部は、1部400円(プラス2冊贈呈)/11部以上は、ご相談下さい。

【注文先】サクラ調査・ネットワーク/連絡=たんぽぽ舎内(東京都千代田区三崎町2-16-2 ダイナミックビル5F/電話・03-3238-9035 ファックス・03-3238-0797/HPアドレス たんぽぽ舎HP Eメール・tanpoposya@jcan.net/郵便振替・00180─1─403856(加入者名「たんぽぽ舎」)
2006年08月27日更新
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レバノン戦争に対する態度を批判されるブレア首相
 八月五日、イスラエル国防軍のレバノン軍事行動に抗議して、五〇〇〇人以上の市民がテルアビブ市内をデモ行進した。デモ隊はディゼンゴフ通りから、交通遮断となったキング・ジョージ通りを行進、紛争終結と、イスラエル軍のレバノン引き上げを要求し、アミール・ペレツ国防相非難を叫んだ。
 デモ隊のうち未成年を含む二人が逮捕された。また右翼数人の襲撃を受け、プラカードなどを破壊された。
 同日、ロンドンでも数千人のレバノン反戦デモがあった。デモ隊は、ブレア首相が米国のブッシュ大統領に従って即時停戦決議に賛成せず、イスラエル寄りの決議に票を投じたことを非難。「レバノンでのイスラエルの犯罪を止めよう!」「パレスチナに自由を!」などのプラカードをもって、ロンドン中心街を行進。警察発表では一五〇〇人、主催者発表では一万人規模のデモであった。
 デモを企画したのは米国主導の「テロとの戦争」に反対するグループ『戦争連携をやめろ』で、デモ隊に子どもの靴を配り、レバノンで子どもが殺されていることに抗議して、ブレア首相邸の近くに積み上げさせた。「これはレバノンで殺害されている何百人という子どもの記念碑だ」と『戦争連携をやめろ』の代表が語った。デモ隊は「無条件即時停戦を呼びかけよ」という要望書を政府に渡した。
 ブレア首相は、同じ労働党の議員からもレバノン戦争に対する態度を批判されている。レバノン危機を議論するために夏休みを返上して議会を開くことを要求している労働党議員の一人モハマッド・サルワールは、「我々の首相は英国の正直な気持ちを代表していない」とBBCラジオで語った。ジョン・ハットン労働・年金長官は、ブレア政権内の意見が割れていることを否定し、「首相は戦争を止める努力を怠っていない」と弁解した。
 イスラエルはヒズボラのロケット攻撃に反撃し、レバノンを激しい空爆で叩いた。少なくともレバノン人七三四人、イスラエル人七五人が死亡した。元外務大臣ジャック・ストロー大臣はイスラエルの反撃を「過剰攻撃」と批判したが、ブレア首相と現外務大臣はそういう表現を避けて、政権内が割れていることを露呈した。レバノン危機に対するブレアの姿勢は彼の権威を弱め、退陣の時期を早めているようである。(8/6付ハアレツ紙より 翻訳・脇浜義明)
2006年08月24日更新
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守銭奴
 金儲けのことばかり言う人間は、「守銭奴」と罵られた。それは人間として恥ずかしいことだという「タテマエ」が、かつての日本にはあった。現実には生活に追われ、頭の中は「金、金、金」であっても、口に出すのは、卑しいことだった。ところがこのタテマエを葬り去った人間の卑小さは、やはり見るに堪えない。ならば無視すればいいだけの話だが、コソコソと恥ずかしそうにしているのならまだしも大手を振って闊歩し、世間もこれを囃し立てるとなると話は別だ。
 「投資は創造的行為」と誰かが言ったとか。いくらきれいな言葉で飾ろうとも、金でしか値打ちを計れない人間は守銭奴。この言葉、「声に出して読みたい」ような美しい日本語ではないが、もう一度復活させるべき言葉ではないか。そういえば、「誇り」とか「志」という言葉も聞かなくなったなぁ。(H)
2006年08月18日更新
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9・11は仕組まれたものであった
 「21世紀は人々にとって希望の世紀に」と2000年の年明けは誰しもが願った。その願いを無惨にぶち壊した「9・11」。「9・11」が実は巧妙に仕組まれたものだった、という疑惑は当初から多くの人々が抱いていた。あまりにも出来すぎた「映像」、突然登場した「アルカイダ」「ビンラディン」、その存在(意図的に作られた空想の産物である可能性が高い)を人々の心に焼き付けさせる執拗なマスコミ(当局の情報を無責任に垂れ流す輩も共犯)の一方的な世論操作。
 以後の世界の展開はブッシュテロ政権のやりたい放題である。平和な世界を望まない勢力(戦争こそが利益の源泉と認識する連中)が相変わらず力を持つ世界である。世界中からカネを集め、そのカネを使って戦争をする。一番利益を得るものはブッシュの身内の軍需産業。軍産複合体とよばれる連中の懐に入る仕組み。旧くておぞましいシステムである。
 地域が壊れ、人々のつながりが壊れ、「個」にますます分断され、アメリカ型の社会に変貌するわが社会。「恐怖を意図的に作り出し、人々を支配する社会」(ムーア)そのものになりつつある。。
 人民新聞で「9・11は仕組まれたものであった」という検証ビデオを多くの人に見てもらいたいと、よりわかり易くして編集し提供する。ぜひ、活用していただきたい。(S)
DVD無料配布決定
2006年08月17日更新
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釜ヶ崎「ホームレス就業支援センター」が日雇い一時金をピンハネ?!
 「大阪ホームレス就業支援センターは、日雇い労働者のピンハネをするな!」―こんなシュプレヒコールが日雇い労働者の街・釜ヶ崎に鳴り響いた。大阪ホームレス就業支援センターは、国の事業委託を受けて、「求人・請負仕事、内職の斡旋や自立支援センター入所者への就業サポートを行う」としており、大阪府・市・連合大阪などが運営主体となっている。
 七月一八日、釜ヶ崎地域合同労組員ら一〇名は、早朝から西成労働センターで抗議行動への参加を呼びかけた後、就業支援センター前に移動し、ビラまきをしながら抗議活動。周囲の労働者からは拍手やヤジも飛び、にぎやかな抗議活動となった。
 就業支援センターが批判の的となっているのは、三〇年程前に「日雇い労働者にもボーナスを出せ」と要求し闘いとってきた「日雇い一時金」の原資となっている大阪建設業協会(大建協)からの五六〇〇万円を、就業支援センターが寄付として受け取っていたため。「本来、日雇い労働者が受け取るべき金なんだから、支援センターのピンハネと批判されてもしょうがない。就労支援センターは、五六〇〇万円を大建協に返して、日雇い一時金支給再開を要求すべきだ」と、釜ヶ崎地域合同労組委員長・稲垣浩氏は語る。
 日雇い一時金は、大建協・大阪市・大阪府が原資を負担して、毎年八月と一二月に日雇い手帳保持者に一〜一・五万円程度支給していたが、〇四年に大阪府が「打ち切り」を決定。一時金要求運動を担ってきた全港湾西成分会を中心に支給再開の要求を続けているが、〇四年一二月に支給されて以降、ストップしたままだ。
 就労支援センターに交渉を申し入れたところ、事務局長・田中氏が応じる意向を示したため、支援センター二階の会議室で直接交渉となった。田中氏は、連合大阪でホームレス問題を担当し、全港湾西成分会や行政との調整役を担ってきた人物。「連合」退職後の昨年四月、事務局長に就任した。同氏は、「ホームレス自立支援事業への批判も十分承知している」とした上で、「調整と検討の結果として日雇い一時金打ち切り、就労支援への方針転換となった。後戻りはできない」との見解。「ピンハネ」との批判については、「大建協からの五六〇〇万円は特別就労事業にも使われている」と反論した。
 しかし、「自立支援」の名の下に実施されている諸事業が、公園テント強制撤去の口実と正当化に使われているのは紛れもない事実。行政の無策を認める田中事務局長ならば、就労支援センターが行政責任を曖昧にし、問題の本質を覆い隠す役回りを演じていることはわかっているはずだ。「国の委託を受けているので私たちに当事者性はない」という言い訳は、まるで小役人の答弁そのもの。かつて労働組合のオルグだったという経歴が泣きますよ。田中さん。(編集部 山田)
2006年08月14日更新
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回避できた無意味な戦争 イスラエル人の声
 戦争では、いつでも叡智は事後にやってくるようだ。破壊と悲しみの後で。自分たちが愚かしい罠に引きずり込まれ、数々の失敗を犯したと総括し、そういう本が書かれるのは、いつも事後のことで、しかも戦争の過ちが認識されるのには数十年かかる。
 ガザとレバノンは、我々が定期的に立ち戻る戦争の罠のようである。私は毎年、戦没友人の墓参りをするが、その墓地はガザとレバノンの戦死者でいっぱいである。
 今、またもやガザとレバノンで、まったく不必要な戦争を始めた。以前の戦争は、後に関係悪化と交渉決裂と政治的硬直状態が続いた。今年はイスラエルとPA(パレスチナ自治政府)の両方で選挙があった。 選挙のあと、双方に指導者の空白が生まれた。選ばれた指導者は無策で、ただ威張るだけであった。軍部は指を引き金において、行動するときを苛々しながら待っていた。ベイルート空爆とナハリヤの破壊は、我々が戦った戦争の中でもっとも無意味な戦闘となるであろう。すべては、もしも我々の政治家が老練で、せめて米国なみの自制心があれば、回避できたことばかりである。この戦争は、復讐に猛り狂った武装民兵と軍隊が民族全体を引きずり込んだ戦争である。
 流血の第二次インティファーダ後の数年は、わが国側の失敗でいっぱいだ。多くのイスラエル人が望んでいたアラファトの死をうまく生かすことができなかった。和平派アッバスとファタハが選挙に勝てるように、イスラエルは協力しなかった。ガザを一方的に撤退、何もかもを破壊して荒地だけを残し、しかもハマス制裁処置で封じ込めた。私は何度も訪れたが、飢えと悲惨の増大を見た。それは安全弁のない圧力鍋であった。
 「追い詰められた猫は豹に変身する」というアラブの諺があるが、窒息死・餓死寸前の悲鳴として、ガザの豹がブリキ製のカッサム弾を撃った。そして伍長が誘拐されるという不名誉を受けた軍は、怒り狂って全力で反撃した。交渉、忍耐、エジプトの仲介などを一切無視、軍は六月だけで、主として女性や子どもなど一〇〇人のガザ住民を殺害した。そのリアクションはレバノンからやってきた。ヒズボラがイスラエル軍の弱点を突いたのだった。
 レバノンでも、ガザと同様、イスラエル軍が決定を下し、反撃した。文民政治家の声はほとんど聞こえなかった。レバノンやガザでこれまでの苦労で作り上げた成果は一瞬で吹き飛んでしまった。我々にとって残っているのは、イスラエル・アラブ双方の愚かさと盲目がもたらす悲劇を目撃することだけである。双方とも、我々全部を焼失する前に火を消す知恵と勇気を持っている指導者を欠いているのだ。(7月14日「yネット」より)
2006年08月12日更新
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静岡空港問題/本質は細部に宿る
 県による用地の強制収容が始まった静岡空港の第2回目の収用委員会が7月4日開かれた。地権者100人すべてを含め、空港推進中止を訴える支援者が会場最前列に陣取って、事業者側への事業報告、収用用地の財産目録について求釈明が行われた。
 5月31日に行われた第1回の収用委員会が、地権者の抗議と収用委員会側の不手際によって混乱したことを受けて、会場には制服警備員が配置され、県警の私服警官とおぼしき人たちが、ビデオカメラを会場で回すという、異常な状況での開催となった。
 求釈明に立った地権者の農民が、県が提出した財産目録の1つ1つに、不明な点への回答を求めた。目録第1冊の第何ページの樹木の種類は何か。ツル状の植物とは何か。この横断幕とあるのは旗ではないのか。この看板は県当局が建てたものだが、いつ、土地所有者に所有権が移ったのか、あるいは誤りか。このビニールひも10mとあるのは何で測ったのか。他のひもに長さの記載がないのはなぜか…。
 初めはざわついていた会場が静まりかえった。県当局の役人の頭が下を向く。壇上に陣取った収用委員の先生方の目に光が増した。
 そして最後に彼は、これだけは県に聞きたいと、収用反対を貫く農民が徹夜で書いた看板を示し、尋ねた。「県はこの看板にいくらの値段をつけたのですか」。
 そうだ。本質は細部にこそ宿る。(M)
2006年08月11日更新
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アメリカとの一体化でアジアから孤立していく日本
 「『憲法をどうするのか』ということを国民投票にかけて、国民が「No!」と言えば、日本はすべて変わります」─経済同友会終身幹事・品川正治さんの講演を聞いていた記者は「 」と、眼を白黒させてしまった。国民投票って自民党が平和憲法をつぶすために準備している法案では?
 七月一日(土)、ホテルアウィーナ大阪(大阪市中央区)で「孤立する日本─改憲とアジア敵視政策を撃つ」と題して講演集会が行われた(実行委参加団体は、社民党大阪府連・連帯ユニオン関生支部・全港湾大阪支部・朝鮮総聯大阪府本部など七団体)。
 品川さんの話は「どんなに優秀な外交官が交渉しても、日米関係を変えることはできない。変えられるのは国民だけ。『日本とアメリカの価値観は違う』と突きつけて、アメリカの世界戦略を変えさせるべき」と続く。
 かつて日本の侵略戦争時に実際に中国で戦闘行為に参加したという品川さん。新憲法草案が発表された時に九条二項を読んで、仲間で「国全体が憲法を通じて『もう戦争はしない』と決めた。これこそが侵略したアジアへの贖罪だ」と快哉を叫んだそうだ。
 しかし現在まで、支配政党はこういった当時の日本人の平和への想いを共有してこなかった。世界中で戦争にひた走るアメリカと価値観を共有している日本で、九条(二項)がなくなってしまえばえらいことになる、と警鐘を鳴らす。
 国民投票の実施については、品川さんと意見を異にするけれど、戦争のために憲法を変えようとする動きに対して、私たち一人ひとりが異議を突きつけていこう、とする品川さんの意気込み・気概が伝わってきた。
 この日のもう一人の講演者である本山美彦さん(福井県立大経済学部教授)は、最近の「村上ファンド」に見られる金融資本の倫理のなさを批判した。
 現在のアメリカ型の資本主義=市場主義経済・規制緩和・「官から民へ」という流れは、「権力からの自由を求めるものではなく、大企業が権力を持つための自由を求めていくためのものだ」と批判する品川さんと同じく、本山さんも、モノを作る現場が大事にされることなく、お金を売買する市場が跳梁跋扈する経済を痛烈に批判する。
 「アメリカは軍事で金儲けしようとしている国です」とイラク戦争における関連事業で多額の利益を上げたハリバートン社の例を引きながら、本山さんは軍事と経済の結びつきを指摘する。
 さらに日米関係を決定づけている安保条約が、実は「経済的緊密化」についても書かれてある事に触れ、日米安保を廃棄しなければ、米国経済から自立できないと訴えた。なるほど、今もイラクで侵略の限りをつくしている米軍とブッシュ政権を世界から退場させるためにも、私たち日本の民衆が安保条約の存在を忘れるわけにはいかない。
 この講演会のサブタイトルは《財界人と学者が、対米一辺倒の小泉外交の転換、アジア共生の新しい日本の進路を指し示す》。それぞれの立場から、私たちが目指す「もう一つの世界」への道筋を示した二人の話は、拝聴に値するものだった。(編集部 小比類巻)
2006年08月08日更新
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実業から虚業への転落
 このところ、毎朝、毎夕のテレビや新聞を見てうんざりするのは誰もが同じ気持ちだろう。日銀総裁まで汚染された村上ファンドの金融事件や、果てしない青少年の残虐な殺人・誘拐事件は、誰も無関係とは思えなくなった。それには必ず何億から何千億円という金銭と戦後教育がからんでいる。
 新自由主義・グローバリゼーションの時代を表す事件だと言ってしまえばそれまでだが、この4、5年、とくに21世紀にはいってからの世の中の乱れ、人心の荒廃は、突然変異の感じさえする。若者たちの車中での携帯電話の会話や風俗を見ると、これはどこの国かと疑いたくなる。
 ある新書本を読んでいて気になる数字に出会った。アメリカの全企業収益に占める金融サービスの比率は、1947年には8%であったのが1970年には20%となり2000年から2003年に40%になったという(ロナルド・ドーア著『働くということ』中公新書)。
 これを金融資本主義と言えば聞こえがいいが、言葉をかえれば資本主義の実業から虚業への転落である。生産過剰による総需要の低下、富の偏重、株の買占め、企業買収、要するに資本主義は共食い時代に変ったのである。共食いは自然界では種の絶滅を意味する。世の雰囲気はまさに末世というしかない。(F)
2006年08月06日更新
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