12/6日の丸・君が代強制反対! 斉唱時の起立、斉唱、伴奏義務不存在確認訴訟

原告団結集会に結集を MK生(都立学校教員)

2003年 12月5日
通巻 1163号

教育の汚点!都教委一〇・二三通達文書

東京都教育委員会は、教育長名で一〇月二三日付の通達文を都立高等学校、盲・ろう・養護学校長宛に出した。タイトルは「入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱の実施について」。この通達文に合わせて、都教委は、これまで以上に細かく実施内容を指示した「実施指針」を出した。日の丸・君が代の扱い方、場所、時間、式場の形式、参加職員の服装にまで立ち入った恐るべき内容だ。教職員に対しては「会場の指定された席で国旗に向かって起立し、国歌を斉唱する」と明記されている。しかも、「校長の職務命令に従わない場合は、服務上の責任を問われる」とわざわざ処分の脅しまで書き加えた異常な内容だ。

都教委は、この実施指針に沿って、全校長にヒアリングを実施。これまでの卒業式の実施状況を詳細に報告させ、指針に沿わぬ行動を取る教職員に対しては、職務命令を出し、「どんな細かなことでも報告せよ」、と徹底した強制に乗り出してきている。

 すでに、卒業式を待たず、「開校周年記念行事」にターゲットを絞り、指針通りに実施させようと、各校へ強い圧力をかけている。すべての実施校では、校長の職務命令として一〇・二三通達と実施指針が読み上げられ、事前に教職員の着席位置まで指導部に提出させ、都教委から監視のために派遣された指導主事が、教職員の指定座席の間に入り「起立・斉唱」をチェックするという異常事態が起こっている。報告によると八名の指導主事が大挙して押し寄せてきたり、ビデオで教職員の動きを撮影するところまで出てきている。

 そして、周年行事の式典で反対の意思表示をした仲間(複数校)に対して、都教委は恫喝じみた事情聴取を強制。近々、見せしめ処分を強行しようとしている。

教育内容の統制までもが始まっている!

 このような教育現場での思想統制が許されるのだろうか?これまで多くの都立学校では、生徒たちとともに独自の誇りある式を創ってきた学校が少なくなかった。また押しつけられた形式があったとしても、学校現場におけるやり方は、それぞれが決定していた。しかし、この通達によって、すべての都立学校では画一的な「ひのきみ」崇拝の形式だけで実施されることになる。このことは単に、「ひのきみ」だけの問題にとどまらず、学校の教育内容についても統制されるようになる、という重大な問題を含んでいる。(すでに、都立七生養護学校においては、性教育の内容に対し、都教委が一方的に介入し、多くの処分者を出して、性教育内容の変更を強制した)。

教育基本法一〇条には、「教育は不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきである」とある。今回の通達は、こうした教育基本法の精神に対する石原都知事らの真っ向からの挑戦であり、憲法の「思想・信条の自由」を一方的に侵す暴挙である。

 東京都の教育委員の一人は、いみじくもこのようなことをうそぶいていた。「東京都の教育は、教育基本法の先を行っている」「(国旗・国家法案に、尊重規定がないのは)国が間違っている」。

 彼らの目指すものが、先の「つくる会」歴史教科書の導入や今回の通達・指針の完全実施だけに終わらないことは明白である。イラクへの派兵を強行し、有事法制、教育基本法の改悪、憲法改悪へと歩を進めようとしている支配層にとって、教育統制の既成事実化は、なくてはならない獲得目標なのである。

公権力行使への不服従申し立て=無名抗告訴訟に立ち上がろう!

都教委の明白な憲法違反の暴挙に対し、都高教の有志や都障労組の仲間が集まって、画期的な法的対抗手段が提起された。教育法研究者や弁護士も交えた検討を経て、従来の処分後の訴訟ではなく、事前に「君が代斉唱時の起立や斉唱・伴奏義務の不存在」を確認する予防的訴訟だ。

「行政事件訴訟法三条一項」に基づいて起こす訴訟には、取消訴訟、無効確認訴訟、不作為の違法確認訴訟があり、これら以外で不服を申し立てる訴訟を「無名抗告訴訟」と言う。懲戒処分等を受ける以前に訴訟を起こすことは通常ないが、今回の都教委の暴挙に対する抗告は訴訟の要件を十分に満たすものではないかとの判断がこの背景にある。

 この訴訟の意味はきわめて大きい。憲法に規定された思想・信条・表現の自由を守るためにも、多くの方が「ひのきみ強制反対・予防訴訟を進める会(仮称)」に結集し、「原告」ともなって、共に運動を社会的に作っていただけるよう心から呼びかけます(「原告」の資格は都の現職の教員で原告になる意志のある方です)。

●[お願い]「進める会」会員になってください。この訴訟を物心両面で支える活動を行います。/会費・年三〇〇〇円(予定)/振込先:郵便振替口座=〇〇一一〇─一─七四〇〇四二「予防訴訟をすすめる会」

人民新聞社

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