【いま、パレスチナでは】
 ムハマッド・サデク発

エルサレム・タイムズ
―2003年 10月30日

2003年 11月15日
通巻 1161号

ヨルダン渓谷の隔離壁はロードマップへの障壁

パレスチナを巨大な牢獄に変える壁

火曜日、パレスチナ自治政府は、「イスラエルが西岸地区の東側沿いのヨルダン渓谷に建設を計画している隔離壁は、米が提唱するロードマップへの致命的な障壁になる」と、声明を出した。この隔離壁は、電流を通した柵とコンクリートの壁でパレスチナ人を囲い込むことになる。アラファト議長の側近ナビル・アブ・ルディナは、「隔離壁建設の続行と、それをヨルダン渓谷にまで延長する、というイスラエルの決定は、ロードマップに対する致命的打撃となり、パレスチナ人民に対し全面戦争を布告するに等しい」と語った。さらに同氏は、「これは国連決議を無視する、重大な結果を招く挑発行為である」と語り、国連安全保障委員会と国連総会に対し、「国際社会に挑戦するイスラエル政府に制裁を課すべきだ」と要請した。

パレスチナ側交渉委員の一人サエブ・エラカトは、建設予定の隔離壁を「ヨルダン渓谷を走る人種差別の壁」と批判、それは「イスラエルの安全や防衛とは何の関係もないもので、単にパレスチナ人の村や町や難民キャンプを巨大な牢獄に変えようとする策略だ」と語った。さらにつけ加えて「この壁の目的は、パレスチナの土地をもっと多く取り上げ、パレスチナ人の経済と社会を破壊することだ」と言った。

壁建設を容認する米・ブッシュ政権

イスラエル首相シャロンは、西岸地区のヨルダン渓谷沿いに緩衝地帯を設ける計画を設計中で、完了次第政府に提出されるだろう、と言う。首相は、壁が数`メートルほど西岸地区を侵食することを認めたが、正確な壁建設ルートや、どれだけの土地が接収されるのかについては、明らかにしなかった。建設作業は一年余で完了させると言った。

パレスチナ人はこの壁を、「アパルトヘイト壁」と呼んでいる。実際にはこの壁は、西岸地区内へ二〇`も食い込み、パレスチナ領から豊かな土地と村々を引きちぎることになる。これはイスラエルによる一方的な国の線引きで、パレスチナ領を多く併合しようとする行為である、とパレスチナ人は見なしている。事実イスラエル政府は、もしパレスチナ国が誕生した場合、ヨルダン渓谷はイスラエルの支配下に入る、とすでに発表している。

 米政府は、「隔離壁がパレスチナ国家建設の土台となる領土を侵犯するのであれば、好ましくない」としている。ブッシュ大統領は、イスラエルの安全のための壁建設は、パレスチナ国家建設を困難にする限り、「問題がある」と言う。しかし大統領は、「国家防衛と土地接収とは別個の問題で、この点に関してわが国の見解はすでに明らかにしている」とつけ加えた。

[ 「海外ルポ」に戻る

人民新聞社

このページは更新終了しております。最新版は新ページに移動済みです。