カンボジア近況報告13 |
議員の選挙前引き抜き・武力衝突の可能性 |
2003年 11月5日
通巻 1160号
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選挙なんて一般市民には意味がない平和な正月◆某月某日 まあ、何はともあれ子供にお年玉(といっても一個七五kのチョコレートだけど)をあげて、新年の挨拶なんぞすると、 「あー、今日から新しい年が始まるんだなー」という気分になります。ここカンボジアのお正月は、いたって静かなもので、どこぞの国のように、殺傷能力のある爆竹を鳴らしまくったりとか、そういうのは殆どなく、のーんびりとしたもんでした。 ちなみに聞いた話によると、内戦時は新年になると、兵士たちもみんな輪になって酒を飲み、景気付けに手榴弾投げまくったり、機関銃や迫撃砲を乱射してたそうです。「正月祝い」って事で、酒なんぞ飲みつつそんな話を聞いて、「平和って大切なんだなー」とか心の底から思いました。迫撃弾やら手榴弾の乱れ飛ぶ新年なんぞ、絶対嫌ですから。 危険な選挙◆某月某日 町中では、党の旗を持った人たちが、壊れかけのスピーカーで、大音量で歌謡曲流しながらバイクで表通りをパレードしたりしています。なんで歌謡曲を流してるのかよくわかりません。もしかするとカンボジアでは、政策についてアピールするより歌謡曲流す方が、受けが良いのかもしれません。 実際の選挙状勢について、何人かに聞きましたが(この国ではデリケートな話題だけに沢山の人に聞いてまわることはできませんが)、一致していたのは、人民党が敗北した場合の武力衝突の可能性についてでした。「人民党頭首であり、首相でもあるフンセンは、軍も掌握しており、人民党が選挙で敗北すれば、武力に訴えてくるのではないか」とのことでした。長年の内戦が終わり、「ようやく訪れた平和が再び破られる事は誰も望んでないだろう」と思っていましたが、実際には現役の軍人を中心に、混乱を望んでる人もいるようです。軍隊にいれば、戦時には殺人、暴行、略奪、…何であれ自分の好きなようにできたからだ、と聞きました。 もちろん、それは少数派であると思います。しかし結局のところ、武力衝突の可能性を考えれば選択肢は人民党しかないですし、話を聞いた人の一人は「こんな選挙は私たちにとっては何の意味もない」と、吐き捨てるように話していました。実際、農村では与党の立場を利用しての締め付けもかなりしているようなので、「今度の選挙で政権が交代したりする事はまずないだろう」というのが皆の一致した意見でした。 (U) |
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人民新聞社