人民新聞

★北大阪合同労働組合 事例レポート

    給料ダウン・不当な配置転換…
すぐに辞めず、闘ってよかった

北大阪合同労働組合・書記長 広瀬正明

2003年 10月5日
通巻 1157号


給料が半分にダウン!「このまま辞めるのは悔しい」


 この3月に、豊中市内にあるファッションホテルA社従業員のBさんが相談に来られた。相談内容は、「2月まで20万円近くあった給料が、11万円にまで下げられた。それで職場を辞めようと思っている。しかしこのまま辞めるのは悔しくてしょうがない。知り合いが以前に、北合同に相談に行ったという事を聞いたことがあるので、北合同に相談に来た」ということだった。
 20万円近くあった給料が11万円に減った理由は、労働時間の短縮と、土曜や日曜や夜間の労働の取り上げによる割増賃金の減少だった。
 Bさんの話によると、A社の社長Cは、不景気で客の数が減ってきたので、60人の従業員の給料を、何人かの取り巻きの連中以外は軒並み減らしてきたが、Bさんの減少は一番大きい。会社には有給休暇もない、社会保険にも入っていない─ということだった。組合は、辞職を思いとどまらせるのと同時に、組合に加入してもらい、分会結成をA社に通告した。
 その後、団体交渉を何回か持つ中で、給料を16万円にまで戻し、有給休暇を認めさせ、社会保険の加入についても加入するという回答を出させた。労働条件の変更についても組合と協議するという協約もとった。Bさんに、「労働条件が良くなってきたのは組合のおかげや」と話しかける従業員も出始めてきた。



「闘いの中で言いたいことを出せた。組合に入ってよかった」


 しかし、7月中旬になって、A社はBさんにホテルの備品の補充の仕事からホテルのフロント業務への配置転換を命令してきた。会社側のBさんへの説明によると、ホテルの備品の補充の仕事を、ベッドなど部屋を整える仕事の一部とするために、備品の補充だけをする従業員がいらなくなる。そのため、ホテルのフロントへの配置転換をするというものだった。
 北合同はA社に対して、「組合との協議事項違反である」「本人に業務命令を出す前に組合に協議を申し入れ、協議を行うべきだ」と団交を要求した。団交の時間や場所についての合意が取れないうちに、配転の日がきた。組合はBさんと話し合う中で、配転拒否で解雇されることを防ぐために、一応配転に応じつつ、団交や闘いを継続する中で不当な配転を止めさせる、という方針を出した。
 Bさんはフロント業務についた。しかし、小さな部屋の中での主任や社長の態度にいたたまれず、当日の有給休暇を出してA社を後にした。
 北合同は、7月から8月にかけて、連日のように不当な配転と協議事項違反に抗議する街宣とビラまきを継続した。泉大津の系列のホテルまで情宣を行った。Bさんはその間、有給休暇をとって闘いつづけた。
 8月中旬に、会社側の弁護士から和解の申し入れがあった。2年前に遡って社会保険に加入すること、約1年分の給料を支払う事で和解合意を行った。
 A社に残って、組合に労働者を結集して労働条件の改善を勝ち取っていくのが一番いいと思う─Bさんも最初はその方向で頑張った。しかし、気持ちがもたなかった。
 合意の後、Bさんは言った。「あの時、3月で辞めていたら13年間の悔しい思いはそのままやったけど、闘いをして、ビラに言いたいことを書いて、気持ちは晴れた。3月に辞めないで、組合に入ってよかった」。


「北大阪合同労働組合」豊中市岡上の町2─5─28 田口ビル/電話 06─6846─8302

 

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