人民新聞

またまた、のさばり始めたコーアン警察

失業・野宿が増大する時代
闘う者への監視・弾圧スパイ行為に反撃しよう! 

ステッカー貼りを口実に労働組合を政治弾圧

2003年 7月5日
通巻 1149号

 

 

「箕面警察署は、通行のじゃまをせず、バリケードを撤去して、市民を警察署に入れなさい!」
 鳴り続けるクラクション、飛び交う怒号とシュプレヒコール。箕面警察署前は、多数の野次馬も集まり、一時間半にわたって、大混乱に陥った。
 この混乱は六月三〇日、箕面警察が北大阪合同労組(北合同)組合員をステ貼り逮捕したことがきっかけだ。七月二日には、一三名を動員して組合事務所のガサいれまで敢行。パソコン二台とフロッピー数枚を持ち去った。
 こうなっては、労働組合も黙っているわけにはいかない。即日抗議行動を呼びかけ、午後五時頃箕面警察署前に二〇名ほどの労組員と支援者が集まったのである。
 ところが、箕面警察署は、他の警察署から応援部隊も動員し、カマボコ(機動隊員移送用の大型バス)を待機させたうえで、一〇名ほどの機動隊を正門前に配置して阻止線を張り、宣伝カーはおろか労組員の入場をも阻止するという挙に出た。そもそも、ステ貼りという微罪で逮捕・ガサイレまで行い、要求書を持っての抗議活動に対し、入場を妨害するというのは、警察側が後ろめたい気分を持っているからに他ならない。
 これに怒った組合側は、クラクションを鳴らし続けながら車をじりじりと乗り入れ、労組員は機動隊に激しい抗議を行うと、警察は車止めを設置し、さらに道交法違反を言い立てて「切符を切る」と恫喝を始めたものだから、さらに抗議行動はエスカレートしていったのである。

 

資本家の犯罪は見逃し、労組は微罪逮捕の箕面署

 潟Rミュニカは、出版・企画会社である。この業界の例に漏れず、深夜に及ぶ長時間残業・休日出勤が当たり前となっており(年間二〇〇〇時間以上の時間外労働!)、残業代も支払わず「仕事で失敗した」という、お話にならない理由でKさんを不当解雇したのである。
 Kさんは、「労働者を人間として扱っていない!」と争議に入ったが、潟Rミュニカが行った数々の労働基準法違反は、最高で懲役六ヶ月に相当する。
 箕面警察署は、こうした資本家の不法行為には目をつぶり、これを追求するためのステ貼りという争議行為に対して逮捕、組合事務所へのガサイレを行ったのである。これは、争議への介入というレベルを超えて、北合同労組そのものに対する政治弾圧と言わざるを得ない。
 ちなみに、逮捕当日に書記長が被逮捕者への面会のために箕面警察署を訪れると、二カ所ある門が封鎖され、カマボコ(機動隊員移送用の大型バス)一台と、投石よけネットを張った指揮車が到着していたという。たかがステ貼り逮捕に、カマボコ+指揮車、という物々しさは、いかにもこの逮捕の目的と性格を表している。ステ貼りの取り締まりが目的ではなく、労働組合の活動調査・弾圧が目的なのである。
 この日北合同労組側は、二時間ほど元気よく抗議活動を展開した後、@逮捕・ガサイレについての謝罪、A押収物の即時返還を要求して、引き上げた。

抗議に驚き、慌てて押収物を返還

 「昨日の押収物をお返ししますので、引き取りに来て下さい」。抗議の翌日、こんな電話が箕面警察署から北合同組合事務所にかかってきた。すんなり押収物の返還に応じたのである。しかし公安事案でガサイレを行った場合、警察は無期限で押収物を保管するのが通常で、即時抗告など法的手段を執った場合にようやく返還に応じる。今回のように翌日に返還するなどというのは、異例中の異例で、嫌がらせでガサイレをしたものの、抗議の強さに驚き、慌てて返還したということなのだろう。そんなことならガサイレなどしなければいいのだ。おまけに押収物引き取りのため組合書記長が箕面警察を訪れると、またもやカマボコが待機し、警察官がピケを張っていたという。箕面警察署は、よほど北合同の抗議が怖かったらしい。

生活苦につけ込み、たばこ銭でスパイ勧誘

釜ケ崎炊き出しの会・代表/稲垣 浩

差し入れ者には何も教えず

 六月一九日の夜六時一五分ごろ、釜ケ崎解放会館に浪速警察から電話がありました。「Nはそこに住んでる人か?」と聞かれたので、「喧嘩か何かあったのですか」と聞くと、「ちょっと…」との返事でした。「弁護士が必要ですか」と聞きましたが、はっきりした答えは返ってきませんでした。
 私はすぐにN君と面識のあるE弁護士に電話を入れ、「浪速警察へ面会に行ってもらえないだろうか」と頼みましたがダメでした。
 自分たちにできることは「差し入れ」だと思い、組合員のK君と、ちり紙・石鹸・タオル・歯磨き・歯ブラシをそろえて七時過ぎに浪速警察に出かけました。担当の私服刑事の富江と名乗る人物と話をしました。差し入れは時間が遅いのでダメと言われ、「どんな事件でN君はここにいるんですか」と聞いたら「本人のプライバシーのことなので詳しくは言えないけれど、逮捕状が出るような事件」ということでした。
 二〇日の朝刊にN君のことが記事になっていました。二〇日の午後、差し入れを済ませて弁護士の接見を待ちました。この日の夜に、G弁護士事務所のT弁護士の接見がありました。

「何かあったらこそっと教えてくれや」

 六月二九日(土)に会館に住むO君が自分の自転車で浪速区のジャンジャン横丁の入り口にある交番の前にさしかかったところ、警官に呼び止められ「この自転車はどうしたんや」と言われ「他人から譲ってもらった」等のやり取りの後、「交番に入れ」と言われ中に入りました。名前・住所・生年月日を聞かれ、答えると「なんや、釜共(釜ヶ崎解放会館)にいるのか」と言い「なんで稲垣と知り合いになったんや」「Nみたいに放火するやつがいるから稲垣は選挙に通らんのや」などと言い、そうこうしているうちに交番のファックスにOさんに捜索願の出ている文章が流れてきました。警官が親戚に電話したところ、「もう関係ない」ということでした。
 眼鏡をかけた大きな警察官は、「釜共は門限があるのか」と聞き、Oさんが「ない」と答えると「そしたらゆっくりしていけや」と言い「わしら今、稲垣とケンカしとるんや。炊き出しのメンバーはまともな人間はおらん」「炊き出しは一ケ月何ぼくらい費用がかかるんや」「おまえはなんぼもろとるんか」「稲垣は関係のないとこのテントのことに首つっこみよる。それで金儲けしてんのと違うか」「今、解放会館に何人おるのか」「あんなとこおらんで、仕事見つけて辞めたほうがええぞ」等々、主に二人の警官が交互に聞いてメモをとっていたということです。
 約一時間、根掘り葉掘り聞かれたそうです。交番から解放される前にはタバコのマイルドセブン一箱とインスタントの焼きそば・てんぷらうどんと一三〇円(タバコのホープを買うお金)をくれたそうです。そして最後に、「今のことは稲垣に言うなよ。何かあったらこそっと教えてくれや。タバコやったらなんぼでも吸わせたる」と言ったそうです。
 日雇労働者の生活の苦しいことにつけこみ、タバコやはした金でスパイをさせようとする警察の醜さに今さらながら憤りを感じています。

身内の不祥事には知らん顔

 Nさんには差し入れと面会を続けています。
 昨日七月四日、Nさんの面会を終え、差し入れの準備をしていると、手錠をかけられたNさんが出てきたので、追いかけていき、腰縄を持っている私服刑事と婦人警官に『Nさんが放火するから、稲垣は選挙に落ちた』ということをジャンジャン横丁の入り口交番の警官が一般の人のOさんに言ってる。警官には守秘義務があるやろ。そんなことを言うたらあかんのとちがうか」と抗議しました。階段の途中に立ち止まって聞いていた男の刑事は「調査してそういうことがあったら言っておく」と言って、Nさんを連れて四階へ上がっていきました。
 さてNさんのことですが、汐見橋(浪速区)の路上にテントを張って生活している人々を大阪市と浪速警察署他が掃除、薬剤散布を名目にテントの強制排除を画策していることに対し、二ケ月に一度現場に行って「強制排除反対」の闘いをやってきました。今年二月の強制排除反対の闘いで、Nさんは浪速警察署の警官に、着ていたオーバーのポケットを破られてしまいました。四月の強制排除の闘いの時、Nさんのポケットを破った警官が来ていたので抗議すると、「それはお前が破った」という始末。ビデオにちゃんと撮ってあり、動かぬ証拠があるのです。
 一年前、Nさんは天神祭りを理由に大阪市に立ち退きを迫られている人達を支援するために、大川の河川敷に私たちと一緒に座り込んで闘いました。
 私達はNさんが帰ってくるまで支援を続けたいと思っています。

 

 

 

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