大阪・天満橋

地下鉄工事で野宿生活者を排除!?

2003年 2月15日
通巻 1135号

大阪・中之島新線の工事着工を前に業者側が説明会


 大阪駅の南1km足らずの所に、堂島川と土佐堀川に挟まれる形で中之島がある。3kmの長さにも及ぶこの場所には、大阪市役所・日本銀行をはじめとした公共の施設や、名だたる大企業のオフィスビルやホテルが建ち並んでいる。大阪の中心地といってよいだろう。
 この中之島を縦断する形で、京阪電鉄の天満橋駅から2.9km西側の玉江橋まで、「中之島新線」が計画されている(昨年12月に工事施行認可され、開業予定は2008年度)。
 建設工事は、第3セクターの中之島高速鉄道(株)が行うが、着工を前に、工事予定地付近で、テントを張って野宿生活をしている人たちに対して、立ち退きを求める動きが出始めている。
 2月13日、実際の工事を請け負うJV(共同企業体)が、京阪・天満橋駅近くの大川沿いで野宿生活している人たちに対して「説明会」を行った。説明会に大阪市などの行政側は一切姿を見せない。JV側による工事概要の説明が行われ、それに対して、工事に伴う具体的な質問が、テント生活者の人たちから出た。
 業者側の説明によると、(1)工事に伴い、線路が通る川沿いの遊歩道がつぶされて、護岸ぎりぎりまで岸壁が設けられる。(2)その工事場所で野宿生活を送っている人については、事情をきちんと話して立ち退きをお願いする。(3)強制執行はしない、などの説明がなされた。
 野宿生活者からは、「工事予定地以外にも、立ち退きを求める立て看板が不必要に立てられているのはおかしい」と、「野宿生活者排除」を駆り立てる、有形無形の圧力への不安と抗議の声が出た。
 いずれにせよ、今後は業者だけではなく、行政側(大阪市)の対応が注目される。リストラや失業・倒産などで、切り捨てられた人々が、どっこい負けずに野宿でしたたかに生き抜いているものを、地下鉄工事の名目だろうが何だろうが、再び排除させるようなことがあってはならない。

 2月14日、大阪府守口市の花博記念公園鶴見緑地で、「凶器」を持った少年グループによって、野宿生活者が襲撃される事件が起こった。
 こういった事件は、行政による一貫した差別と排除の施策によって煽られたところが大、である。
(小比類巻 新)

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人民新聞社

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