JR高槻駅北地区再開発土地疑惑 |
江村前高槻市長らの被告尋問行われる |
2003年 2月5日
通巻 1134号
1月24日、13時30分より大阪市中之島大阪地方裁判所806号法廷で、JR高槻駅北地区再開発の先行土地買収をめぐる9億円損害賠償請求の住民訴訟裁判が開かれ、被告の江村前高槻市長(78)と角谷前高槻土地開発理事長(72)が証言台に立った。約2時間半にわたって被告側代理人の主尋問、原告側代理人の反対尋問が行われたが、被告らは「知らない」「覚えていない」などトボけた証言を繰り返した。満席(75席)の傍聴席から失笑、怒号が飛びかい、裁判官が制止する場面もあった。被告らの不誠実な態度に、疑惑が晴れるどころか、さらに不信と疑惑が浮かび上がった。 (F) さらに疑惑が浮かび上がる! 「どんな土地だったのか知らない」とトボける?! 「先行買収した土地がどんな土地であったのか?」、原告側代理人がその認識を問いただしたのに対して、江村前市長は「そんなもん知らん。担当者が調べとる。報告もない」とトボけたのには驚いた。この土地には、最終的に摂津信用金庫の13億円の根抵当権が設定されており、買収時には約17億円の債務が発生していた。高槻市土地開発公社は、高槻市の依頼を受けて、この土地を18億円で買収した。時価は、土地バブルが崩壊して10億円を割っていた。摂津信用金庫は、元金と利息を丸ごと回収し、8億円の損失を免れた。高槻市が最終的に公社から買い戻した段階では、9億円の損失を税金で肩代わりしたのである。原告側代理人が、議会質疑の議事録を示して、「この質疑をどう思いましたか?」と尋問すると、「そんなことわしは知らん言うとるやろ」と目を剥いて怒る始末。議会と法廷の区別がつかないワンマンぶりが露呈した。 買収手続きの根拠法をゴマかしていた?! 従来、再開発用地は土地開発公社では買えない、と答弁してきた高槻市が、本件用地を急に買収すると言い出した。「その根拠は何か」という議員の質疑には、「公拡法5条(註)で買える」という大阪府の指導があった、と根拠法を示している。また、所轄部署の都市整備部から財務部への買収依頼の決裁書も、公拡法5条と記している。にもかかわらず、高槻市から土地開発公社への買収依頼書は、根拠法を明記していない。原告側代理人は、角谷被告に「公拡法5条の買収依頼ではなかったのか」と尋問した。「知らない」「公拡法五条による買収手続きではなかったのか」「知らない」「あなたは公拡法5条の法律を知っていますか」。「知らない」。土地開発公社は、公拡法第10条で設立されている。当該理事長が、公社設立の法律を知らないと言うのだからあきれてしまう。結論的には、本件用地は公拡法5条による買収ではなく、同法17条1項による任意買収で処理されている。この売買協議の中で、なぜ買収手続きの根拠法が変わったのか。議会への説明は一切なかった。江村元市長・角谷元理事長は、価格交渉や買収手続きは担当者の仕事で、自分たちは一切関与していないと逃げる。開発公社の業務は、市民に対しても議会に対しても、闇の中であったことがわかる。 高値契約価額は官製談合であった?! 「契約価額決定の根拠は何か」という尋問には、「鑑定価額である」と江村前市長は断言した。ならば「それは最終段階で依頼した高値鑑定評価2通(大手鑑定業者)のことではないか(A鑑定195万円/u当、B鑑定193万円/u、契約価額192万円/u)。初期交渉段階で依頼した低値の銀行鑑定165万円/uはなぜ参考にしなかったのか」と尋問した。「交渉期間が長びいた。その間再開発計画の成熟度が増して、土地の個別性・将来性の付加価値が生じた」と高値鑑定を擁護する。「では165万円/uの銀行鑑定は間違っていたのか」。「参考にならなかった」と逃げる。権利者との売買協議は、初期段階で難航し、権利者は公拡法5条の届けをせずに民間売買(転売)に走る(民間売買の場合は国土庁への届け出が必要である。地価下落が続く中で、なぜ高値の民間売買が可能だったのか。ここに価額吊り上げの官製談合の疑惑がある)。高槻市の本件土地買収の2度目の依頼書を出す。大手鑑定業者への鑑定評価書を依頼する。権利者への国土庁の不勧告通知(民間売買承認)は、いずれも平成4年12月22日の同日である。原告側代理人の「国土庁不勧告通知は、取り引き価格の上限を承認したもの。あなたは『この価格も参考にした』と議会で答弁していますね」との尋問に対して、角谷前理事長は「参考にもいろいろある」とトボけた。司法がどう裁くのか注目したい。 〔解説〕公拡法5条とは 「公有地の拡大の推進に関する法律」買い取る側の地方公共団体に有利な法律であり、申請者にも税制の優遇措置がある(同法の場合の税は、売買価額18億円の場合は20%で3.6億円、任意買収の場合は39%で7億円となる)。 |
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人民新聞社
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