「世界の警察」★アメリカの一隅から

エンロン的手法に
どっぷりつかるブッシュ

2002年 9月25日
通巻 1122号

高まるブッシュ批判

 皇軍敗北後の日本占領連合国軍の最高司令官と言えば、マッカーサー。絶大なる力を有するかに見えたこの男は、しかし、朝鮮戦争のさなかに「核兵器の使用」「中国への侵攻」などを広言したために、トルーマン大統領に解任された。解任された後、マッカーサーは兵器会社レミントン・ランドの会長の座に納まった。更に死後もマッカーサー財団は軍需産業などに寄与し続けている。
 注目に値するのは、「核の使用」「○○への侵攻」を広言した軍司令官が大統領に解任されたという点である。周知のように、現在ブッシュ政権は「核の先制使用」だの「イラクへの侵攻」だのと喚いている。この一点だけでも、「ブッシュ は大統領の器ではない!」と言わざるをえない。
 「9・11」や「平和」を叫べばなんでも許される、という状況は、とうに消え失せた。アラブ・イスラム諸国はもちろんのこと、同盟諸国からもブッシュのやり方への批判が高まっている。合衆国内でも多くの人々、マスメディア、更には共和党有力者や元共和党政権の高官達からも、批判の声が相次いでいる。
 かつては、ブッシュJr.の手腕をほめ、言い分をそのまま伝えたメディアですら、「イラク侵攻のためにする口実なんて誤りだ!」といった論説を伝えるようになった。また、クリストファー元国務長官は、『私はアルゼンチンへ行った時のことを決して忘れない。わが国も多数を収容しながら名前すら公表しない。これはかつてのアルゼンチンの「行方不明者」と同じだ』と、その非人道性を非難した。
 追い詰められたブッシュ政権は、「サッダムの危険性!」を繰り返して喚く。さらには、そういうあり方を批判している親米政権国家をも、攻撃対象として挙げつらったりする。脅せばなんとかなると思っているらしいが、これは逆に反発を大きくするだけである。

「サウジ分割案」まで表面化

 さて、アフガン攻撃の狙いの一つは、中央アジアの石油にあると言われてきた。同様アメリカ大統領・ブッシュに、イラク攻撃の狙いは、サッダム・フセインを除去し、アフガンのカイザルのような合衆国の石油利権を代表する人物とすげ替えることだと言われる。
 当然(?)、イラク人民や周辺諸国人民の苦痛などへの配慮は毛頭もない。そういう配慮があれば、核の使用はおろか劣化ウラン弾やさまざまな殺人兵器の使用などできるわけがない。
 「イラク攻撃は必要ではない」「攻撃のためにサウジ領を使用することは認めない」といった批判に泡を喰って、サウジ非難が噴出した。「サウジ分割案」なるものすらも表面化した。〈単なる案だ〉と取り繕っているが、そこに示されたのは、湾岸産油地方をサウド家から切り取って、合衆国の石油利権を代表する一派に任せるという発想だった。その昔「満州国」をでっち上げたのと同じ発想。これじゃ反発が強くなるだけである。
 ブッシュ政権の〈イラクの脅威〉は、エンロンが水増粉飾をやってたのと同様の虚偽報告だ。エンロン的手法は、対テロだけでなく、いたるところに用いられている。儲けは軍需産業、石油産業などと政治家ということだ。冗談じゃない! …そうした批判が合衆国内でも広まっている。そして、ブッシュの支持率は、じりじりと下がっていく。
 最後に、前回のレポートと関係することを一つ。タリバン政権下で大きく減少していたアフガンのアヘン生産は今年は約3000トンの見積もりで、黄金の三角地帯の3倍以上という。どうも最大の消費国の軍隊(それはまた最大の運び屋と言われている)の庇護のおかげらしい。

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人民新聞社

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