豊中市が大阪府から非常勤教員の
給与をだまし取る

広瀬 正明

2002年 9月25日
通巻 1122号

豊中市の公文書偽造・詐欺を許すな

大阪府監査委員会へ監査請求
 大阪府には定年や定年前に辞めた教員を非常勤の教員として再雇用して学校現場で働かせる「非常勤特別嘱託員」(以下「特嘱」と表す)制度があります。
「特嘱」制度悪用を報じる新聞 私たちが問題にしているのは、豊中市がこの「特嘱」の制度を悪用して、学校現場で働かせると府を騙して、本来は豊中市が負担しなければならない市の施設で元管理職などの「特嘱」を働かせていたことについてです。
 豊中市教委は、「市内の小中学校に配置する」と大阪府教委に虚偽の申請をし、辞令を受けながら、校長ら元管理職25人と元一般職員9人を、辞令とは異なる施設で働かせていたのです。
 私たちは、豊中市教委が大阪府教委への申請を偽り、「特嘱」の給料を流用していることから、豊中市教委が公文書偽造、詐欺をはたらいており、豊中市教委に支払われた給料は府教委に返すべきだと考え、
 7月12日、私たちは大阪府監査委員会に、「特嘱」のうち校長ら元管理職25人の給与1年間分約4000万円を府に返還せよ、という内容の住民監査請求を行いました(この時点では9人の一般職員も学校現場以外で働いていることは知らなかったが、後で9人も追加した)。
 学校現場であると虚偽の申請を行い、辞令を受け、「特嘱」が働いていたのは豊中市の教育研究所、青年の家「いぶき」、市人権教育推進委員協議会、少年文化館、青少年補導センター、教育相談室、渡日児童生徒相談室などでした。いずれも、豊中市の施設であり市の職員が働かなければならない場所です。


「一部の返還」は不当―行政裁判へ
 9月2日、大阪府監査委員会は、監査の結果を発表しました。内容は監査を請求した34人全員の給料のうち、青年の家いぶきと市人権教育推進委員協議会に勤務している「特嘱」(青年の家いぶき3名、市人権教育推進委員協議会2名)については学校教育に関する業務とはいいがたいので大阪府は豊中市に返還を求めるべきだが、その他の29名については「元教職員としての能力・経験を活用した業務であり」問題はないというものでした。
 私たちは、府の監査委員会の監査結果をよしとはしていません。勤務地や業務について明かに公文書偽造があるにもかかわらず、それを「能力・経験を活用した」と苦し紛れの言い訳をして免罪し、豊中市が府をだまして流用した金額を不当に低く見積もっているのです。
 また、教育委員会への聞き取りにしても、教育委員会の言い分を一方的に信用しています。
 監査委員会が市の教育委員会に「返還を求めよ」と勧告している給与等の総額は、ざっと見積もっても約4千万円になりますが、私たちの主張ではそれをはるかに上回る損害を府に与えている計算になります。
 私たちは監査結果を認めるわけにはいきません。それ故、行政裁判を行い、私たちの主張をあくまでつらぬいていきます。


利権に取り込まれる管理職・連合教組
 2年前の12月、教育長であった栗原が任期途中で突然辞職しました。その後、大阪府教委から、現在の教育長である浅利が突然赴任します。そして、その浅利が最初にやったことは、卒業式で「日の丸・君が代に反対します」と言って退場した教員を、刑事告発することでした。このあまりにもひどい告発は市民の力で跳ね返しましたが、この浅利を市の教育長に据えたのは、府議の時代には勝共連合の豊中支部長であり、現在の豊中市長である一色であるといわれています。
 浅利は教育長になってから地域の住民の声を無視し、昨年は2つの公立幼稚園の廃止を決議し、今年は2万人以上の市民の反対署名や、解雇になる警備員の反対の声を無視してこの9月から小中学校の夜間、休日の有人警備の廃止を強行しました。
 これらの住民や児童生徒の利益を全く無視する動きに、管理職や連合教祖は全く声をあげません。「特嘱」を悪用した利権構造の中にそれらの人々が取り込まれていることも声をあげない理由の1つかもしれません。公文書偽造・詐欺を働いていた9人の一般職員の中には教組の元委員長や女性部長が含まれているのですから。
 豊中市教委は、府の監査委員会が問題であると述べた5人についても、未だに何の措置も採らず居直っているとしかいえない状態です。
 私たちは住民の力で問題を明らかにし、住民の声を聞こうとしない現在の教育のあり方を変えていかなければなりません。監査請求や行政裁判もその1つの方法です。
 今後も詐欺、公文書偽造をおこないながら平然としている豊中市教育委員会を追及し続けていくつもりです。

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人民新聞社

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