ホームレス排除

「野宿者を排除して天神祭をやりなさい」と
菅原道真公はおっしゃっていますか?

2002年 7月5日
通巻 1115号

 淀川の支流である大川・堂島川・土佐堀川の河川敷には、テント生活をしている人々が多くいます。昨年私たちは、天神祭にあたり目障りだからその住居を撤去するよう、大阪市の職員に告げられました。自分たちで撤去しない場合は、大阪市が私たちの住居を強制撤去するというのです。
 私たちは、住居をたたみたくありませんでしたが、撤去され処分されては困るとの思いで、各自で住居をたたみ、天神橋のたもとに運んで置き、シートをかけたり、堤防の上に鍋や釜などの日用品を置き、それをシートでくるんだりして、大変でした。祭の当日には、天満橋のたもとの出入口にガードマンが立ち、出入りができなくなりました。天神祭が終わるまでの1週間は、近くの公園などで仮眠しなくてはなりませんでした。
 私たちの基本的人権である安心して住める権利を踏みにじって、楽しい天神祭ができたといえるでしょうか。私たちは仕事さえあれば、言われなくても仕事に就きます。この不況で仕事に就けません。やむなく、廃材やシートなどで住宅を作り、生活しているのです。
 ここ大川沿いで生活する私たちの半数近くが釜ヶ崎の日雇労働者です。釜ヶ崎にはあいりん職安がありますが、仕事の紹介業務をしていません。また、生活保護法では居宅保護(アパートなどでの生活)が原則であるのに、大阪市は居宅保護より費用のかかる、しかも劣悪な施設入所を強く勧めます。行政は、釜ヶ崎の労働者に対して、法律の適用を除外しているのです。これは差別行政で、許すことができません。
 私たちは管理・監視され、自由のない施設での生活を望んでいませんので、現在も大川沿いで自炊しながら、ダンボールやアルミ缶を集めて生活しています。誰にも頼らず、生活は苦しいですが、かけがえのない自由を手にしています。
 大川にかかる天満橋と天神橋の間の左岸にある、天満橋沿道に住居を有している私たちは昨年の8月、大阪弁護士会人権擁護委員会に人権侵害の救済申立を行い、大阪市が同じことを行わないよう、しかるべき措置をとることを要請しました。
 ところが最近、大阪市は再び、天神祭のためにテントを撤去するよう通告してきました。生活保護を受けられず、誰の世話にもならずに一生懸命生きている私たちの住居を、どうして大阪市は排除しなければならないのでしょうか。
 私たちは、この人権侵害を許すことはできません。


▼連絡/釜ヶ崎地域合同労働組合・釜ヶ崎炊き出しの会/TEL 06 ―6631―7460

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人民新聞社

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