国営だろうが民営だろうが
郵政事業庁による労働者への
攻撃は止まらない

大阪城東郵便局・河野守

2002年 7月5日
通巻 1115号

労働者はその攻撃と闘っていくしかない!

 現在国会で、郵政公社関連4法案が審議されている。郵便事業への民間参入については、ヤマト運輸が参入を断念した。全国ユニバーサルサービスについては、総務省へ届けて許可を得ることなど条件面でハードルが高すぎたためだ。
 小泉首相は、国会で郵政公社を「民営化への一里塚だ」と言って物議をかもした。これに、自民党内郵政族がかみついた。


■郵便局では人減らしのため仕事がきつくなっている

 また、郵政部内では全ての労働組合が民営化に反対しているし、郵政事業庁本体も民営化に反対している。
 労働組合が民営化に反対しているのは、国家公務員としての身分を守りたいからである。しかし現在、数万人にも及ぶ減員計画のもと、本務者の定員が減らされている一方、大量の非常勤が雇用されている。その方たちは日々雇用なので、「明日から来なくてていい」と言われれば、それで終わりである。仕事は本務者と同じ仕事をしていて、働く時間が短いだけであるのに、待遇が悪すぎる。民間だったら、たとえ有期雇用であっても1年以上反復雇用していたら、合理的な理由がない限りクビにはならない。

郵便物の集配風景(局内/離島へ)
集配風景(上:局内。下:離島へ)

 また郵便局には、4時間雇用の短時間職員もいる。この方たちは、2年間の有期雇用である。もちろん延長はできるのだが、いつ雇用期間満了でクビになるかわからない。
 これらからわかるのは、本務者以外の人たちにとっては、民営化の方がいいことになる。
 そして、郵政事業庁が民営化に反対しているのは、郵政官僚としての自分たちの権益を守りたいからである。郵政互助会(これには全逓幹部も天下りしている)などへの天下りがある。


■労使幹部は腐っている

 全逓、全郵政という労組幹部と郵政幹部は、「内なる力をひとつに」ということで、官費で定期的に飲み会をしている。現場で労働強化に苦しむ労働者に申し訳ないと思わないのだろうか。
 また、郵政幹部は、2年前DM業者から多額のお金をもらっていたり、昨年自民党の高租憲治派選挙運動で公務員の地位利用の選挙違反をして、多数の逮捕者を出した。これらは、組織的な犯罪ではないだろうか。
 郵政幹部は、自分らのひどさは棚に上げて、現場労働者には処分を乱発している。例えば、明石西局では、非常勤の差別発言に対し、課長に同和問題の向上を求めた労働者に対して戒告処分が出た。また垂水局では、勤務時間中ちょっと食事しただけで、減給処分が出た。左京区では、理由を言って超勤を断っているにもかかわらず、戒告処分が出され、さらに他のささいなこととあわせて減給処分が出ている。

山間地への配達

 また、本人の意志に反する強制配転も強行されて、自殺者や退職者が多く出ている。
 これらの攻撃に対し当事者は、人事院を使って反撃している。また、顔写真入り氏名札を着けないだけで、訓告処分が出ている。
 現在の国営でも、労働者に多くの犠牲が強いられている。国営であろうが、民営であろうが、郵政事業庁の攻撃と闘っていくことが大事である。
 現在労働組合は、ちゃんと機能していない。だからこそ、個々人のふんばりが大事になってくる。私自身は、3年前全逓をやめて以来、部内の労働組合に加入していない。ある地域組合に賛助組合員として加入させていただいている。個々人の良心を大事にしている人との連携をしていくつもりである。

 「ムーブメント」〜労働の現場と労働運動へ

人民新聞社

このページは更新終了しております。最新版は新ページに移動済みです。