ロンドン・パレスチナ連帯集会 |
宗教と闘い(生活)の一体性を実感 |
篠崎良輔 |
2002年 5月5日
通巻 1109号
イスラエルによるパレスチナ侵略が激化する中、ロンドンでは4月13日に全英イスラム協会などの「イスラム主体呼びかけ」のパレスチナ連帯と反米集会・デモが、1万5000人(新聞発表)を集めて行われた。昨年10月のアフガン空爆に反対する反米集会・デモにはイギリス全国から労組・反核NGOなど3万人が結集したが、今回のイスラム主体呼びかけの集会・デモも、それに劣らない結集と熱気で開催された。 デモ参加者の主力はアラブ系の人々。イギリス各地域で組織されているイスラム教のグループ単位での動員体制がしっかりしており、今回は特に若者グループや子どもや年寄り連れのファミリーが目立った。若者グループは戦闘的にハッタで覆面をしている元気な連中が多く、女性はチャドルを被った姿が多い。アフガンをめぐって「チャドルは女性差別の象徴」という論議があるが、ここでは闘いの意味合いを(なぜだか)感じた。 ある時間になると、会場のあちこちでグループ毎に「アッラーアクバル」とお祈りが始まった。家族単位でのお祈りや100人位の単位で横一列に並んだ集団での礼拝などさまざまだが、宗教と闘い(生活)が一体となっている様子が垣間見れる。 イスラム系以外での参加者で目立ったのは、イギリスの社会労働党・社会主義者アライアンス(連合)などの政党や、10ほどのパレスチナ連帯グループ。そのほか個人参加者がもちろん多いのだろうが、なかにはギリシャ・カナダ・アイルランドなどの国旗を掲げている人たちもいた。私たちも、「日本からの参加者もいるよ」と知らせたいところであるが、「日の丸を掲げるわけにもいかないよナー」というのが日系参加者のグチであった。 しかし、イスラムパワーは凄い!ジイちゃん、バアちゃんから4〜5才の子どもが、そろって「イスラエルに死を!」、「パレスチナを解放するぞ!」と大声で叫ぶ。ギンギンに美しく飾っている若い女性たちは、「シャロン、ブッシュ、ブレア打倒」を叫んでデモの先頭をリードする。覆面姿の若者も、「インテファーダは勝利する」と叫んで走り回る。で、ここはアラブではなく、イギリス帝国の心臓部・ロンドン――。このイスラム主体の1万5000人の結集を見ると、論理的には説明できなくても、「アメリカ・イスラエルは絶対に勝てない」と確信してしまう。 「9・11事件」のとき、事件やイスラム原理主義者を評して、日本の多くの左翼は「人類の解放とは無縁のもの」と言っていた(新右翼は公然と「9・11支持」を出していたが…)。文面では「なるほどそうか」とうなずきそうになるが、現実世界を見てみると、最も人民の生活に近いところから反帝・反米・反シオニズムの闘いを組織し、推進しているのはイスラム(原理主義)グループであるのは間違いない。イギリス、フランス、米国をはじめ、世界各地に根を張り、今もっともインターナショナルな運動・組織としてアメリカに対峙しているイスラム勢力を、アメリカが最も恐れているのは、よく理解できる。(そして、なぜか日本だけがこのあたりまえの風景から抜け落ちている感じがする。) で、今回の集会・デモへの日系参加者は、日本山妙法寺のお坊さんや折り鶴を首にかけて初めて参加した留学生など8人。5月18日には「パレスチナ連帯運動」呼びかけの集会・デモが予定されているが、そのときには「ジャパン―パレスチナ連帯」の横断幕の下に30人を目標に集めてみようとの話し合いが進んでいる。 |
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