ただ、おのれの作と
不作のみ見るべし

東京・遠藤誠

2002年 1月5日
通巻 1097号

 ところで、お釈迦様は、約2400年前、次のように申されました。「他の作と不作を見るべからず。ただ、おのれの作と不作のみを見るべし」と。すなわち「人が何をしたか、何をしなかったかを一切見るな。自分が何をしたか、何をしなかったかだけを見なさい」ということです。
 昨年も、いろいろとヘンな事件がいっぱい起きました。そこに共通して言えることは、自分の欲望が通らないと、それをすべて、人のせい、世の中のせいにして、犯罪を犯すバカどもの行動であります。
 私は、弁護士としての職業がら、しょっ中事件を依頼されます。依頼者の言い分を聞いてみると、自分には全く非がなく、悪いのは相手方だけと言う人がおおむねです。そして相手方の言い分を聞いてみると、同じく自分には全く非がなく、悪いのはそちらの方だけと言う人がおおむねです。
 ところで私は、何か起きたとき、人が何をしたか、何をしなかったかを、一切考えません。自分が何をしたか、何をしなかったかだけを考えることにしています。そうすると、雲のように悠々と、水のようにサラサラと、生きられます。今年もまた、そのように生きて行きます。

【サイト編集者より】遠藤誠さんは、(2002年)1月22日、肺ガンのため都内の病院で亡くなられました。帝銀事件、永山事件などの弁護を手がけ、人権派弁護士として知られた遠藤さんのご冥福をお祈りいたします。

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人民新聞社

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