【申入書】中止すべき公共事業リスト

大阪湾会議

2001年 11月25日
通巻 1094号

内閣総理大臣・小泉純一郎様 国土交通省・扇千景様
財務大臣・塩川正十郎様 内閣府・経済再生諮問会議御中


 私たちは大阪湾会議は、埋め立てなどによる大阪湾の環境破壊に反対し、大阪湾の市民利用を進めている市民団体です。
 私たちが長年運動を続けてきた中で、以下の事業は環境を破壊するだけではなく、大阪市や大阪府の財政を悪化させ、運営主体の第3セクターの経営破綻を招く恐れが非常に高いと、判断しました。
 政府の方針である、来年度予算での公共事業費10%削減を達成するためにも、以下の事業は見逃せないものばかりです。検討の上、以下の事業の建設費や補助金を、来年度予算で認めないようお願いします。


◆事業を中止すべき公共事業◆

1、地下鉄・北港テクノポート線(大阪市港湾局)
 大阪でのオリンピックが中止となり、2008年までの建設は必要なくなりました。また、オリンピック開催がないとすれば、乗客需要はこれからつくる夢洲の住宅地やオフィスを当てにすることになりますが、これらの事業が成り立つとは思えません。

2、舞洲トンネル(国土交通省港湾局)
 トンネル部分は道路トンネルと地下鉄の共用で、大阪市の地下鉄部分は国土交通省に一括で工事を任せています。夢洲にはすでに夢舞大橋を建設しており、多少不便でも多額の費用をかけて、夢洲―舞洲間に1000億円の費用をかけて、トンネルをつくる理由はありません。

3、舞洲開発計画(大阪市港湾局・住宅局)
 現在埋め立て中の夢洲に、大阪市は住宅やオフィスの建設計画を立てています。しかし、これらが成り立たない事業であることは、この不況下では明白です。また、近年、都心部での住宅需要がめだっています。夢洲は都心から遠く、4万5000人の住宅地が成立する見込みはありません。不況でなくても成り立たない事業を、この時期に行うことは無謀です。

★以上1〜3は、バブル期に制定した「テクノポート大阪」に基づくものです。これらをみなおす委員会を、大阪市校湾局が設置しています。1年間かけて計画の縮小を検討する予定です。少なくとも、この1年間は予算の執行を凍結すべきです。


4、新人工島「新島」埋立計画(大阪湾フェニックスセンター・大阪市港湾局)
 関西のごみを埋め立てる広域ごみ処分場であるフェニックス計画は、産業廃棄物の減少などで既存の埋立地に余裕があり、今すぐに建設が必要であるとは言えません。
 逆に、このような巨大なごみ処理場の存在が、京阪神のごみ行政を遅らせる原因となっています。名古屋市では、藤前干潟の埋め立て中止を受けて大きくごみを減らすことができましたが、これは巨大な埋立地がごみ減量努力を遅らせていることを示しています。建設を予定している港湾施設も、すでに供給過剰で不要です。

5、関西空港2期工事(関西国際空港(株))
 国土交通省は、民営化に名をかりて、本体を国、運営を民間という上下分離方式という無責任な体制を考えているようです。これはとりもなおさず、今の関西空港会社が破綻していることを認めていることになります。民営化のメリットが、投資に際して将来の経営見通しを的確に予想することだとすれば、まず建設の中止が必要です。
 また、1期工事にかかわった専門家もNHKの番組「クローズアップ現代」で表明しているように、2期工事は水深が深く無事建設ができる保証はないと断言しています。仮に完成したとしても、予定以上に費用がかかるのは明らかです。その上、大阪府や大阪市などの自治体は、費用負担に耐えられない状態になっています。

6、神戸空港(神戸市)
 神戸空港は、関西空港、大阪国際空港(伊丹市)との競合など、将来の見通しが大変暗い空港です。秋の神戸市長選挙では、空港建設に反対する候補の合計得票数が過半数を占めました。一方、神戸市の財政は大阪府とともに、日本最悪です。
 今年7月に開通した神戸市営地下鉄「海岸線」も、3000億円の建設費をかけたにもかかわらず、予想乗客数8万人/日の半分以下3万6000人/日にすぎません。これだけでも、大きな負担になるでしょう。地下鉄と空港を比べて必要な方を選ぶという、政策の優先順位を考えもしないで、さらに空港をつくり続けることは非常識です。



▼連絡先/大阪市淀川区西宮原1―5―14週刊釣りサンデー内/tel ―6395―8144

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人民新聞社

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