「よど号」事件公判結審
判決は来年2月14日

関西人道帰国者の会 妻鳥紳三

2001年 11月15日
通巻 1093号

 前回の論告求刑公判で、検事は15年という不当な重刑攻撃をかけてきた。
 10月29日、東京地裁において、田中義三氏の第9回公判が行われ結審した。
 公判には50数名の傍聴希望者があり、パソコン抽選の結果18名が傍聴した。前回公判以後、多数の傍聴希望者が予想されるので、弁護団より「大きな法廷へ変更してほしい」との要望が地裁へ出されていた。また、担当書記官へも「記者席が多すぎるので、傍聴者へ廻すように」との配慮を要請していたが、結果は七割の希望者が傍聴できず、3時間以上も法廷外で待機させられた。裁判所の不誠実さを強く感じた。
 さて、結審公判では、通常は弁護団よりの最終弁論からスタートするものであるが、田中氏の希望や時間の都合で、本人の「最終意見陳述」から始めるという異例の展開であった。田中氏の陳述は約100分という長いものであった。まず冒頭に、現在行われている米国のアフガニスタン空爆を中心とする報復戦争に強く反対すると意見表明がなされた。本論にはいり、「よど号」ハイジャックは、当時の自分たちの未熟さであり、人民を人質に取るという思想的欠陥を持っており、深く反省するとともに、乗客・乗員のみなさんに心より謝罪すると述べられた。ただ、当時の日本政府が、米国のベトナム侵略戦争に全面協力し、戦争反対の闘いを弾圧し続けたという背景も具体的に明らかにされた。また、タイに強制連行され「ニセドル事件」をデッチ上げられ、完全無罪判決を勝ち取るまでの、長く厳しい獄中生活にも言及された。
 最後に田中氏は「遺言として2つのことを言っておきたい」として次のように陳述をしめくくった。第1に、現在強行されようとしている自衛隊の海外派兵は絶対に間違いであり、平和憲法を守らなければならない。第2に、裁判所は、日本の侵略戦争の犠牲者たちに補償を行うよう判決を出すべきである。
 田中氏の陳述に続いて、大津・高木・寒竹の3弁護士より、提出されている「最終弁論書」の一部が口頭で提起された。「よど号事件」等はすでに31年も経過しており、実質的な時効を迎えていること。本人が深く反省していること。私利私欲での事件ではないこと。いずれの事件でも主動者ではないこと。事件での人的・経済的被害が軽微であること等々が述べられた。
 判決は2月14日10時である。大法廷で行われるのでぜひ参加していただきたい。
 なお、田中氏の「最終意見陳述」は、月刊紙「情況」に全文が掲載されている。

「ムーブメント」トップへもどる  ]

人民新聞社

このページは更新終了しております。最新版は新ページに移動済みです。