アメリカ国民の選ぶべき道 |
ノーム・チョムスキー |
2001年 10月25日
通巻 1091号
【解説/ノーム・チョムスキー(1928〜)】 我が国でも『チョムスキー事典』が出ているほどの、世界の言語学の泰斗である。1960年代のベトナム反戦運動以来、その一貫した精力的な発言の軌跡は、文字通りアメリカの良心そのものである。我が国でも、本国アメリカ同様、その政治的発言は、マスコミにほぼ葬られてきて、わずかに1970年前後に、いいだもも等により河出書房や太陽社からその片鱗が紹介されたぐらいである。チョムスキーの政治的書物はアメリカ国内でも、大手書店では取り扱われず、出版する弱小出版社も買収などの憂き目に会っている。世界言語界の重鎮と持ち上げられる一方で無視され弾圧されているというわけである。かつてアメリカ国家のもっとも手厳しい批判者で、童話作家としてのみ祭り上げられたアメリカ最大の発禁作家マーク・トゥエインと似た境涯にあるといえる。 チョムスキーは、一貫してアメリカの外交政策を批判しているだけであり、第3世界におけるアメリカの政策結果の真実を伝えろと言っているだけで、何ら過激なことを言っているわけではない。アメリカでは、このぐらいの発言をしただけでも「パブリク・エニミー」(国家の敵・民衆の敵)に近い扱いを受けるのである。 |
★好戦的愛国主義者に とってはまさに天恵 テロリストたちの攻撃は残虐極まるものであった。しかしあの残虐行為は、例えばクリントンのスーダン爆撃の水準には及ばないであろう。あの爆撃は、何ら信用に足る釈明もなされず、国内医薬品備蓄量の半分を破壊し、その数も分からない人々が殺戮された(数が分からないのは、アメリカが国連の調査を妨害し、誰もそれを徹底調査しようとする者がいないからである)。容易に記憶に蘇ってくるスーダン爆撃よりはるかにひどいケースに比べれば、言うまでもないことである。 ★何が原因なのかを いかなる対応をとるべきかに関しては、我々には選択肢がある。我々はこのおぞましさを正当化することもできれば、一体何が原因でこのような犯罪行為が生まれたのかを理解しようと努力することもできる。つまり、それは凶行に走りかねない者たちの内面に立ち入る努力を払うことを意味する。 |
[ 「特集」トップへ戻る ]
人民新聞社
このページは更新終了しております。最新版は新ページに移動済みです。