中国最新徒然

印刷業管理条例が施行

2001年 10月15日
通巻 1090号

 9月、中国で「印刷業管理条例」が施行された。主たる目的は、反社会的な印刷物・コピー商品用の印刷物を印刷業サイドで取り締まろうというものだ。たとえば出版物の場合、出版許可証がないと印刷してはいけない、ブランド品の場合、そのブランドの登録許可証を提示しなければ印刷できない、等々。
 1999年秋に「出版物管理条例」が、2000年秋には「インターネット4法」が施行され、それに続く今年の「印刷業管理条例」だ。これで、出版、情報流通の上流から下流まで法の網の目がかけられたわけだ。
 昨年春に、中国にある仲間の会社に「出版物管理条例」の調査が入った。販売している商品の中に翻訳ソフトがあり、「翻訳ソフトには辞書が含まれる。辞書は出版物だ。ゆえに翻訳ソフトは出版物だ」と3段論法で畳みかけられ、「ではMS社のWとかEとかいうソフトには強力な漢字変換機能があり、本の辞書より内容の豊富な辞書が入っているが、あれは出版物ではないのか」と言うと、担当者は逆上したらしい。最終的には「出版物ではない」というお墨付きをもらったが、法の解釈がある程度担当者に委ねられていることも中国では一般的で、担当者が代わればどうなるかはわからない。
 「出版物管理条例」の適用はすでに厳しく実施され、出版物は「出版コード(刊号)」をもらい、よく見える場所に印刷しなければならない。外国人では「刊号」をもらうことは殆ど不可能で、「××ウォーク」とか「××ナビ」などのミニコミ誌は、中国の出版社がすでにもらっている「刊号」を借りて出版している。「刊号」の借り賃は1号につき最低でも1万元。もうかる雑誌なら、この金額はどんどん高くなる。逆に、1万元の借り賃も払えない硬派雑誌は、次々と廃刊に追い込まれる。「借りて出版できる」ことと「お金でカタがつく」ことに腹など立てていたら、中国とはつきあえないのだろうか。
 「インターネット4法」も、法律文面では相当に厳しいものだが、実際には本格的な適用はまだ始まっていないようだ。「ホームページを作ったら、担当役所に見せて許可番号をもらい、それをホームページのよく見える位置にいつも表示すること」とか「ホームページ作成業者は届け出て、認可を受けなければならない」というような内容だが、そろそろ指導と取り締まりが始まろうというところか。
 繰り返すが、これらの法の目的は「反社会的行為の禁止」である。法輪功の取り締まりであったり、諸外国から批判を受ける海賊版の取り締まりが目的だ。そのために、出版の自由も表現の自由も奪われてしまっていいのだろうか。

(も)

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人民新聞社

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