―円卓会議はうまくいきましたか?
実は、始まるまでどんな方法で一本化するかというのが全く決まっていませんでした。参加者は全部で80人ぐらい。最初の1時間は一本化の方法についてもめていました。
まず初めに、参加者が、8月4日、8月29日、9月2日の3回の討論会を聞いて、どう思ったかを率直に話し始めました。例えば、「最初は、吉田さんがいいかなと思ったけど、最後は浦上さんがいいと思った」などを、どんどん話していきました。そしたら、木村さんという声が多かったんですね。なぜか、木村さんを応援している人がなんとなく多かったんです。それで、木村さんに決まりそうになったんですが、1日で決めてしまうというのは怖いし、80人の市民が決めて、それで市民派の候補だってのもおかしいかな と思ったんです。
―2回目、14日に行われた円卓会議で決まったということですか?
9月14日の2回目の円卓会議は、50名ほどの参加でした。木村さんが、神戸空港をどうするかという具体案を最終的に出したということで、別に多数決をとったわけではないのですが、結局、木村さんに決まりました。
「市民派候補として木村さんをみんなで応援しましょう」という声があって、署名簿が回されましたが、50人中30人ほど署名していたと思います。私はしませんでした。強引な決め方ともいえるし、市民派候補としての木村さんというのがわかりませんでした。木村さんは市民派なのかな?そもそも市民派とはなんだろう?というのが正直な疑問ですね。若い人は、絶対木村さん支持ではなかった。なんかちょっとおかしいんじゃないかって、もうちょっと自分たちで考えようという流れで、「プトジェクト神戸」でも今話し合ってます。
―その日には決まることになっていたんですか?
最終的に一本化はしないといけないと思っていました。8月29日に7人で討論会を行いましたが、顔見せ程度で、明確な違いがわからないし、このままだったら乱立状態で負けてしまうと。急きょ、29日の討論会が終わってから、円卓会議が企画されたんです。
そのときは、円卓会議が一本化に向けての会議だという趣旨は、みんなわかっていたとは思います。ただ、円卓会議は、市民団体のどこの誰が主催という形ではなく、いろいろな形で選挙に関わっている団体の共同開催という形にしようということになりました。ですから、責任者不在なんです。それも問題があったんですね。「責任者でてこい」と言っても実質誰もいないわけですから。
結局、たった80人が決めてしまい、しかも最終的に30人しか署名してないのにもかかわらず、やはり新聞には市民派候補と載ってしまうわけです。
―そこで決めるというのは、この神戸市長選挙にかかわる団体の候補者も含めて全体の意思ではなかったんですか?
候補者のほとんどの方は「誰かに一本化して勝てるなら、自分は降りてもいいですよ」と言ってました。でもその決め方は強引すぎると、決め方が納得いかないから降りません、ということだから、全然一本化にはなりませんでした。
― 一本化できない理由としては何があげられますか?
1つには、一本化を目的とした円卓会議の進め方が決まっていなかったことがあげられます。
しかし、一番の理由は「この人に市長になってもらいたい」という飛びぬけた魅力のある人がいないことだと思います。だから、候補者同士でも、「この人が出るんだったら自分の方がマシ」となるんでしょうね。候補者は、自分以外の人が降りてくれたらいいという「自分への一本化」を望んでいるでしょうし、市民団体にすれば、応援している人に一本化したいんです。だから誰かを応援をしてる人は他を降ろしにかかってるわけです。いいまとまり方なんてないんでしょうね。
×
結局一本化の道を歩んでいない市民派。しかし、市民派とは何か?という疑問がある若者にとって、この一本化の動きが納得できないというのはよくわかる。また、今まで準備を進めてきた候補者にとっても、支援団体にとっても、自分と同じ考え方をする人がいないのであれば、妥協できない思いがあるだろう。しかし、市民団体が自分の応援する候補者への一本化を目指しての円卓会議なら意味はなかったし、最初から一本化への道はありえない。
候補者を直接見ることができ、政策を聞くことができる討論会が、あたりまえのように各地で何度も開催される。そんな、「組織選挙ではない、市民が自ら選ぶ」本当の選挙が行われるのはまだまだ先になりそうだ。 (ネジ) |