不動産鑑定書を公開させる
高槻北地区再開発の公共用地先行買収に関わる損害賠償請求の住民訴訟裁判は、いよいよ核心に迫りました。私たちはこの裁判で今まで情報公開請求、住民監査請求で公開させられなかった被告側(江村前市長、奥村現市長ら)が高値買収の根拠とした不動産鑑定書を公開させました。
私たちは、これら用地買収関係資料の公開により不正疑惑の証拠を明確にすることができ、この不動産鑑定評価の不当性と、被告らの共謀性を裁判で明らかにしていきます。
再開発の将来評価を過剰に嵩上げ
不正疑惑の第1のポイントは、本件土地の鑑定評価に再開発の将来性が過剰に評価されて価格が嵩上げされていることです。高槻市土地開発公社が先行買収した価格は、881.01平方メートル、18億3000万円、高槻市が公社から買い戻した金額は20億1935万円でした。
私たちは、これに対し世間相場と比較して9億2278万円も不当に高く購入し、高槻市に損失を与えたとして、独自に依頼した不動産鑑定書を示して損害賠償請求の住民訴訟を起こしました。高槻市と公社が鑑定会社に依頼して価格決定の根拠とした不動産鑑定書は、四通あります。
今回、この鑑定書の公開により次の内容が明らかになりました。
(1)高槻市と公社から示された再開発の情報と資料の説明により、将来要因を過剰に評価するという基本的な条件設定を誤っている。
(2)従って本件土地の地域的要因、個別要因を過剰評価し、鑑定価格を異常に嵩上げしている。
江村前市長らの共謀の事実
不正疑惑の第2のポイントは、買収価格決定に至るプロセスが極めて不自然であることです。本件の土地は権利者の事情により高槻市に申し出がなされて、1995年(平成5年)2月に契約が成立しています。
しかし、高槻市から買収依頼を受けた公社と権利者との交渉は難航して、権利者は第3者の民間業者と売買契約を行い、国土庁に承認の届け出をしました。この段階では公社の交渉は不成立のところ、高槻市は公社に買収の再依頼をして契約が決着した経緯が明らかになりました。
この最終価格決着に至る疑惑解明の証拠資料が公開されたことにより、私たちは江村前市長と角谷前公社理事長の共謀の事実を裁判で立証していきたいと思います。
国交省に不当鑑定の申し立て
私たちは、以上により9月25日、国土交通省土地・水資源局地価調査課に対し、「不当な鑑定評価に対する措置を要求する申立書」を提出しました。
これは、地価公示法第8条(不動産鑑定士等の土地についての鑑定評価の準則)に照らし、「不動産鑑定評価に関する法律」第43条(懲戒処分等の手続き)による申し立てです。私たちはあらゆる法的手段と、市民への情報公開により本件土地疑惑の解明に全力をつくし、税金の無駄遣いを今後さらに厳しく監視していきます。
さらに、不動産鑑定士の団体・大阪府不動産鑑定士協会に対しても、国土交通省に「不当鑑定に対する措置」を申し立てたことを伝えるとともに、協会として厳重に審査するよう文書で申し入れました。
▼不正をなくそう!市民連絡会発行「不正をなくそう新聞」 より/tel0726―74―6978
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