「6・13西宮事件資料集」

「6 ・13 西宮事件」を考える会

2001年 7月25日
通巻 1083号

 かつては「浮浪者」とか「住所不定者」と軽蔑や差別をこめて呼ばれた住むべき家を失った人々は、そこにいることそのものが悪であるかのように扱われてきました。最近は「ホームレス」と呼ばれたり、「野宿者」と言い換えられたりするようになりましたが、社会の見方はそれほど変わってはいません。
 福祉社会と称していても、実際には住む所をもたないと、生活保護を受ける権利さえ保障されていないのが現実です。
 そのような社会の風潮を受け継いだ若い人たちが、野宿している人を、ゴミのように扱い、あるいは座興や嘲笑の対象として「おちょくり」「軽い気持ち」で攻撃する、という事例は枚挙にいとまがありませんでした。野宿せざるを得ない人々もまた遠慮深く生活し、襲撃されても耐え、その結果命を落とす人はありましたが、反撃するということはほとんどありませんでした。
 田中さんたちは、意識的にではありませんが、いつ襲撃されるかわからない不安を感じながら野宿している人々の「こんどきたらやりかえしてやる」と言う思いを実現してしまったように思えます。
 その結果、若い命が失われ、田中さん自身も長い獄中生活を送らざるを得ないという、悲しむべきことになりました。襲撃されたら我慢すべきだとは言えませんが、このように、反撃しても悲惨な結果になる。野宿している者は、一体どのようにして身を守ればよいのだ、という問いには答えることなしに、検事も裁判官も田中さんを裁いてしまったように思います。私たちも、ここで立ちすくんでいるのかもしれません。
 このような悲惨をなくすために、それぞれが考える手がかりの一つになればと思って、「会のニュース」と裁判の資料の一部を資料集として発行することにしました。
 最後に、後藤貞人弁護士・遠藤比呂通弁護士、そして支えて下さったみなさんに、会を代表して心から御礼申し上げます。(「6・13 西宮事件」を考える会代表・野々村耀)


▼B5版366ページ/日本バプティスト連盟浜甲子園教会内森山気付/tel0798―41―5304

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