秋田分限免職裁判勝利
報告講演会開催される

強制配転に反対する近畿郵政労働者の会/妻鳥紳三

2001年 7月25日
通巻 1083号

〈はじめに〉

 秋田県大曲郵便局の須藤伸氏に対して、同局長は97年6月、「国家公務員として必要な適格性を欠く」として分限免職(いわゆるクビ)処分を強行しました。その理由は、「局構内の無許可駐車」「出勤簿の勤務時間内押印」「座り区分」「ネームプレート不着用」等々であり、とても免職にするような内容ではなく、活動家パージそのものでした。
 須藤氏は、人事院への不服申立(不当にも処分が認められる)を経て、98年9月に秋田地裁に提訴しました。
 今年2月、『分限免職取消』の画期的な判決を勝ち取ることができました。この勝利判決を関西の郵便労働者が学び、共有しょうと、須藤氏を迎えて講演集会を企画しました。

〈講演報告〉

 7月7日、東淀川勤労者センターで、郵便労働者を中心に71名が参加する講演集会が行われました。主催は、「強制配転に反対する近畿郵政労働者の会」「全国郵政人権連絡会」「郵政近畿労働組合」の3者。各代表から関西の郵便労働者の闘いの報告も含めて挨拶がありました。
 続いて須藤氏が登壇し、裁判の経過・争点・判決内容について講演を受けました。氏は、処分の背景と本質について次のように分析しました。
 70年代から本格化する郵政省当局の「合理化・効率化の流れ」があり、第2組合全郵政の育成と全逓への差別労務政策・強権的労務管理体制の確立。職場闘争への大弾圧としての4・28処分とそれ以後の全逓の労資強調路線への転換(80年代)。原則的闘いを堅持していた、全逓鹿児島東支部牟田書記長への分限免職(87年)。全逓が4・28闘争の「幕引き」を決定(91年)。さらには、人事交流(強制配転)の本格化に全逓東北地本が反対しないと表明(97年)といった具合に、『連合』に結集する全逓中央は何ら闘わず、職場闘争は圧殺され、「命令と服従あるのみ」という職場実態の中で「分限免職」は強行されました。現在の郵政職場は、競争と能力主義管理、コスト主義、管理主義を積極的に導入し、強制配転を使って思い通りの職制支配を完成させつつあります。これに抵抗する者は「処分」という構造なのです。

〈勝利判決〉

 須藤氏の「不当な免職処分だ」との提訴に対し、東北郵政局は「人事院で調べ尽くしたから、事実調べの必要はない」と終息に逃げようとするが、秋田地裁は「処分」の内容を詳しく調べた後、以下の理由で「処分取消」を判定しました。1、最高裁判例として、国家公務員の免職処分については、特に厳密・慎重であることが要求され、裁量的判断の余地は狭い。2、須藤氏の「非違行為」は職場規律に関するものが多く、違反の程度も大きくない。業務への影響も小さい。3、人事院の判定後「違反」を是正改善しており、持続性を有するとはいえない、と明確に指摘しました。
 当局への無謀な控訴により、高裁へと闘いは続きますが、私たちも連体・団結して共に闘いたいと決意しています。

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