★管理職ユニオン・関西 事例レポート

強まるリストラ攻撃
しつこいイジメ・人権侵害で退職を迫る!

書記長・仲村 実

2001年 7月25日
通巻 1083号

■ 仕事を取り上げられ、退職の強要

 パソコンで有名なメーカーの子会社、従業員は約500名。勤続29年、システムエンジニアのAさん、53才である。課長だった4年程前に部下を取り上げられ、その後1人で仕事をさせられてきたという。今年の6月半ばより、仕事そのものを取り上げられ、現在に至っている。
 以前に管理職ユニオン・関西の資料も送ってもらい参考にしながらがんばってきたが、もう持ちそうにないので、決意をして「加入する」ために訪ねてきたAさん。
 詳しく聞くと、今年の3月くらいから社長や総務部長、各部門の部長が入れ替わる中で何度か呼び出されている。Aさん1人対3人ないし5人という中で責めまくられたと言う。
 メモを見せてもらうと、「お前を抱える余裕はない」、「辞めろ。身を引け」、「まわりが迷惑する」、「次の仕事が決まるまで面倒見てやる」、「お前は暗い」、「2ヵ月分やる。次の職を探せ」、「あと2週間やる。何をやるか紙に書いてこい」等々と言われてきた。
 仕事を取り上げられた前日の呼び出しでは、「まわりが気を使っている。仕事なし(取り上げてきたくせに)でボケッとしているから」、「しつこくいるか。辞めろよ、そろそろ」、「業界には向いてないよ」、「みんながじゃまに思ってる。どう始末をつけるんだ」、「給料泥棒もいいとこだ」、「きたない。会社にくらいつくだけくらいつこうとしている」、「いいのか。懲戒解雇になっても。依願退職の方がいいんじゃないの」、「どうして何も言えないのか」、「お前はこわい。刃物で何かやりだしかねない目をしている」、「はっきり言ってじゃま。他の人間に悪影響をきたす」等々。業務命令で呼び出されて仕事を取り上げられ、おまけに人権侵害もはなはだしい攻撃である。Aさんは、「自分でも、少し暗く、付き合い上手ではないことは認めるが、4〜5年前までは、管理職としてもがんばってやってきた。これからどうしたらいいか考え込んで、寝られない日もある。こんな仕打ちは納得できない」と語る。
 「加入すれば」と、ユニオンとしてできることの話をしかけたら、「今日は、加入するつもりできました」と決意を表明してくれました。会社に対し、組合加入通知書を提出することを決めた。当事者にとっては、やられっぱなしからケンカを始めることになる。元気に闘い出すよう、サポートしていく。

■ 職場はなくなる早期退職に応じろ!

 外資系の航空会社でマネージメント職で働いていた30才台のBさん。子供さんも小さい。関西空港での便数の大巾縮小に伴って、「東京に業務集中する」からを理由に、早期退職勧奨を執拗に受けた事例である。
 突然、本社人事部から呼び出されて、早期退職の話を受けたそうである。退職に応じた場合の話として、「再就職会社を紹介する。40〜50歳はほとんどないが、あなたなら大丈夫。十分なサポートをする」、「書類上は、あなたの希望退職扱い。役所への書類は会社都合による退職にする」など。「拒否した場合どうなりますか」には、「ポジションはなくなる。人事としては見つける努力はするが、成田のキッチン(機内食)のパートの仕事しかないが」、「マネージャー職はないので降格・減給になる」など、そして話も結論は、「配慮がないといわれるが、無理に残るより早期退職して、新しい職を見つける方が君にとっていい結果になる」になったそうである。外資系とあって、話し方は、なかなかスマートである。
 その後、3度呼び出されたBさんが「希望退職に応じない、会社を辞めない」ことを伝えると、人事部長から「明日からは、会社にくるに及ばず。来てもポジションがないから自宅待機とします。その後は会社の指示に従ってもらう」と言い渡された。数日後、組合に相談に訪れた。なかなか慎重なBさんは、2回目の相談に訪れたのは自宅待機になってからであった。その場で加入し、団体交渉の申入れを行った。
 団交応諾の返事がきたが、日時は先送りしてほしいという。その前にBさんと人事部長が話し合いを持ち、東京への配属先と給与等の条件で前進していると報告があった。

■ 退職勧告には応じなくてよい

 退職勧奨の中で最近多い相談内容を2例紹介した。退職勧奨は、会社からのお願いだから「いやなら、断わればいい」と、私はいつも相談者に簡単に言っている。しかし、当事者にとってはなかなか大変である。いずれにしても辞めさせようとする会社に対する拒否であり、居残るという選択である以上、大なり小なり会社とケンカをするのだから当然である。交渉をする中で、元気になっていく組合員が多い。彼らもその1人になっていくだろう。

 

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