釜ヶ崎・絆通信

現在の法律を最大限活用すれば、
野宿する人がいなくなるのに

釜ケ崎炊き出しの会発行「絆通信」101号より

2001年 7月5日
通巻 1081号

 梅雨入りして、うっとうしい暑さが続いています。みなさま、お元気でお暮らしでしょうか。
 釜ケ崎では今日も1日2回の炊き出し(午前11時、夕方5時)を休まず続けています。1回の炊き出し数は約400食。前号でカンパしていただくとありがたい物として列記させていただきましたところ、衣類をはじめカサ、軍手、靴など、重宝する品物をたくさん送って下さり、ありがとうございました。また米のカンパもありまして、本当に助かりました。それと、永い間、当会を支援して下さった方が遺言で、当会に寄付するとの意志表示をされて亡くなったとの連絡があり、亡くなった後にまで当会の存在を気にかけて下さったそのお心に、深く感じ入っております。炊き出しの灯を消さないために仲間同士助け合って活動していきたいと、あらためてその思いを強くしたものです。
 今回は、京都刑務所を出所して大阪の更生保護施設(大阪市北区の和衷会)に入所していた中村さんのことについてお話しします。和衷会にいる間に腰椎症、頸椎症になり医療扶助(生活保護)を受けて通院治療していたのですが退所の日が近づき、病状も芳しくなく蓄えもないので、引き続き生活保護を受けてアパートで生活をしたいと、居宅保護への変更申請を大阪市北区福祉事務所に出しました。しかし、福祉事務所は施設収容ならするが居宅保護は認めないと決定したのです。
 居宅保護は生活保護法の中で認められていることであるのに、釜ケ崎の日雇い労働者には認められず、施設収容を強制していますが、同じことが刑期を終え社会復帰をめざす人にもなされているのです。
 このような無権利状態は許されることではありません。施設での拘束や人間関係がわずらわしいという中村さんは、「和衷会を出て行くあてもなければ、野宿するか、悪いと分かっていても、同じ過ちをまたおこすことになるかも知れない、それが心配だ」と語ります。今ある法律を最大限に活用することで救われる人はたくさんいると思うのですが……。
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▼釜ケ崎炊き出しの会発行「絆通信」101号より/tel 06-6631-7460
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