イスラエル・シャロン政権の
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東京・戸平和夫 |
2001年 12月15日
通巻 1096号
昨日ラジオニュースでイスラエル政府がアラファト議長を和平交渉の当事者とはみなさないと決定し、パレスチナ自治区に対する攻撃を拡大することになったと聞きました。 イスラエルは、前回の自治政府を「テロ支援体制」として規定したのに続いて、パレスチナ自治政府の破壊のための次のステップに入ったことを意味します。しかも、このイスラエル政府の決定は、米国国務省のジニ特別顧問が和平のための「仲介」を行っている中でされています。明らかに米国が「仲介」の立場を捨てて、イスラエルが自治政府を破壊することを承認したことを意味しています。 イスラエル政府は、米国がアルカイダの「テロリスト」を壊滅するためにタリバーン政権を不法に打倒したことをまねて、アラファト議長と自治政府をタリバーンにみたてて、「テロ」を消滅させるために、イスラエルの要求に従わないアラファト議長と自治政府を倒すという論理をつかっています。 彼らが「テロ」と呼ぶものは、米国とイスラエルによる不法な国家テロによってつくり出されてきたものです。米国とイスラエルの国際法に反した報復戦争は、「テロ」を消滅させたり、和平をもたらすものではありません。それはイスラエルの戦争の歴史をみればあきらかなことです。 戦争犯罪人であり、国際法廷で裁かれなければならないシャロンを首班とする政権は、明らかにどのような意味においても和平を実現する意志はないことを示しています。シャロン政権が目指しているものは、和平プロセスが作りだしてきたものを破壊することだけです。 シャロン政権がいくら米国のアフガニスタンでのやり方を使ってその行為を正当化しようとしても、アフガニスタンの親米、反タリバーンの北部同盟のような存在は、パレスチナには存在しません。アラファト議長と自治政府を和平の当事者として認めないことはパレスチナそのものとの平和共存を否定するものです。パレスチナ民衆は和平プロセスを破壊してきたのはイスラエルであることを知っているし、パレスチナの怒りは、イスラエルが国際法を無視して領土拡張をつづけ、国連決議に反して占領をつづけ、パレスチナ民衆の土地と生活をうばい抑圧してきたことに根拠があります。そして米国はその不法行為を一貫して擁護してきました。 今や、国際世論は「テロリスト」を消滅させるという目的のためには、国際法を無視し、他民族、国家の主権を否定することが当然であるかのようになっています。シャロン政権は、この機会を利用し、反「テロ」の名においてパレスチナ自治区を破壊し、再び大イスラエルへと拡張しています。 米国のアフガニスタンへの報復戦争に反対するだけでなく、その下で和平プロセスを根底的に破壊し、パレスチナの民族的権利の一切を奪い去ろうとするイスラエル・シャロン政権の国家テロにも反対しよう。そしてパレスチナ民衆への連帯と支援を強めよう。 |
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人民新聞社
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